
デトロイト時事:日米中ロなど21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合は26日、米デトロイトで2日間の討議を終え、閉幕した。昨年5月のバンコクでの貿易相会合に続き、共同声明は見送りとなった。
ロシアのウクライナ侵攻を巡る文言に中ロが反対したためだ。
ロシアへの経済制裁強化や、中国依存の低減を念頭に置いたサプライチェーン(供給網)構築を打ち出す日米など先進国と、中ロの対立は深まるばかり。APECの機能不全を改めて露呈した。
議長国の米国が共同声明に代わり、議長声明を公表。声明は「多くのメンバーがロシアを非難した」とする一方、「他の見解や異なる評価もあった」と指摘した。昨年11月のAPEC首脳宣言を踏襲した。
米国はウクライナ危機について、首脳宣言の表現を引用する形で共同声明をまとめようと調整したが、中ロが異を唱えたため採択できなかった。米国は議長声明の注釈で、侵攻を巡る文言について「中ロ以外の全てのメンバーが賛成した」と言明した。
閉幕後に記者会見した西村康稔経済産業相は「(ウクライナ危機を除き)多くの項目で合意ができた。自由で公正な貿易を発展させる意思の表れだ」と一定の成果を強調した。
会合では、不透明な産業補助金で国有企業を優遇しているとされる中国を念頭に、公正な経済秩序の構築や自由貿易の推進について議論。来年の世界貿易機関(WTO)閣僚会議をにらみ、機能不全に陥っているWTOの改革の重要性も確認した。
時事通信