中国による日本産水産物の全面禁輸を受け、政府が検討中の水産業支援策に、新たに200億円程度を充てる方向で調整していることが2日分かった。ホタテ貝などの輸出の中国依存リスクを低減するため、予備費を活用して、新たな海外販路の開拓や国内加工体制の強化を支援する。週明けに発表する。
具体的には、殻付きのまま中国に輸出されることが多いホタテについて、中国を経由せずに他国・地域に届けられるよう、国内工場に殻むき機を導入する費用を支援する。輸出への影響が大きいホタテなどを一時的に買い取って保管する事業も支援策に盛り込む。
また、日本貿易振興機構(ジェトロ)を通じた取引先の紹介やネット通販による販路拡大に取り組む。政府は既に、漁業者支援や風評被害対策として計800億円の基金を設置しているが、追加支援が必要と判断した。
8月24日に東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が開始されたのに対し、中国は日本産水産物の全面禁輸を発表。岸田文雄首相は同月31日、早急に水産業支援の政策パッケージをまとめるよう西村康稔経済産業相と野村哲郎農林水産相に指示していた。
時事通信