
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前9時22分55秒、新型ロケット「H3」2号機を、鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げた。約1年前の1号機で着火しなかった第2段エンジンも正常に燃焼し、目標の軌道に到達。搭載していた小型衛星を投入した。山川宏理事長は記者会見で「ロケットは計画通り飛行し、所定の軌道に投入された」と述べた。今回の打ち上げ成功で、日本の宇宙開発への信頼回復が期待される。
開発責任者のJAXA・岡田匡史プロジェクトマネジャーは会見で打ち上げについて「満点」と評価。その上で「これからが勝負。宇宙の軌道というよりも事業の軌道に乗せられるようにしっかりと育てていきたい」と強調した。
H3は、JAXAと三菱重工業が開発を進めている2段式液体燃料ロケット。第1段に新型液体燃料エンジンを導入して打ち上げ性能を向上させる一方、部品数の削減や民生品の積極採用などにより、従来のH2Aから大幅なコストダウンを図る。
2023年3月7日の1号機打ち上げでは、第2段エンジンの電気系統で過大な電流が検知され、着火しなかった。JAXAは調査で原因を三つに絞り込み、全てについて絶縁の徹底などの対策を講じた。
2号機には、ロケットの性能を確認する機器と小型衛星2基を搭載。当初の計画では地球観測衛星「だいち4号」を載せる予定だったが、1号機の失敗を受けて変更した。
01年8月から運用が始まったH2Aは、24年度中に予定している49、50号機で退役する。
時事通信