
東京:コレステロールを低下させるスタチンを発見した日本の生化学者、遠藤章氏が90歳で死去したと、彼の元教え子と同僚が火曜日に発表した。
心臓発作や脳卒中を予防するスタチンは、世界中で最も処方されている薬の一つである。
蓮見敬二教授は、遠藤氏が6月5日に亡くなったことを明らかにした。
「彼の研究は本当に偉大でした。スタチンは遠藤氏の前には存在しなかった」と蓮見教授はAFPに語った。「ペニシリンの発見と同じような価値とインパクトがあります」
ジョンズ・ホプキンス医学によれば、2億人以上がスタチンを服用しているという。研究によれば、スタチンの世界市場は2023年には150億ドル規模になり、今後も拡大すると予想されている。
遠藤氏は、1973年に発見されたメバスタチン(ペニシリン由来の、血中のいわゆる 「悪玉 」コレステロールを減少させる薬剤)にたどり着くまで、何千もの微生物で実験を行った。
研究者は「タフで厳格な人でした。洞察力に富み、鋭敏で」、「物事の隠れた本質を見抜くことができた」と蓮見教授は語った。
遠藤氏は1933年、北陸の農家に生まれた。
医学に興味を持ち、「偉大な家庭教師」であった祖父のおかげで、彼の野望は早くから始まったと、遠藤氏は2008年の自伝的エッセイで語っている。
学生時代、遠藤氏はペニシリンのような抗生物質に興味を持ち、それがどれほど多くの命を救ったかに「深く感銘を受けた」と、『ネイチャー・メディシン』誌に掲載された彼のエッセイは述べている。
遠藤氏は1960年代後半、冠動脈性心臓病がアメリカ人の主な死因であったニューヨークで研究を行った。
「心臓発作を起こした高齢者を病院に連れて行く救急車をよく見かけました」
遠藤氏は東京農工大学に勤務していた。東京農工大学は遠藤氏の死を悼む声明を発表し、日本の製薬会社である三共(現在は第一三共の傘下)にも勤務していた。
彼は、最終的にメバスタチンを見つけるまで、2年間かけて6,000株の微生物をテストし、自分の目標に向けて新薬を探した。
近年、スタチン製剤の有益性と潜在的有害性に関して相反する報告がなされ、処方された人の中には服用を中止する人も出てきている。
「スタチンは安全か?」2014年にジョンズ・ホプキンス大学が発表した20年分のメタアナリシスによれば、ほとんどの人にとって、その答えは「イエス」である。
遠藤氏はノーベル賞の有力候補であったが、受賞には至らなかった。NHKは遠藤氏の訃報を伝える中で、遠藤氏は2011年に文化功労者として政府から表彰されるなど、他の栄誉も受けていたと述べている。
彼の発見は「多くの紆余曲折の結果だった」と蓮見教授は語った。
「彼は多くの困難を乗り越えてゴールにたどり着いた。それなくして薬は生まれない、と言っていたように記憶している」
AFP