アレキサンダー・ウッドマン

20世紀の傑出した作曲家で指揮者のクシシュトフ・ペンデレツキが、長期闘病を経て86歳で亡くなった。生前、クシシュトフ・ペンデレツキは150以上のオーケストラ作品や器楽コンチェルト、4つのオペラ、8つの交響曲を作曲した。ペンデレツキが作り出したサウンドは、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアで半世紀以上にわたって演奏されてきた。

1960年以降、クシシュトフ・ペンデレツキは前衛音楽に新たな情熱を見出した。人間の声と器楽による実験から始まり、クシシュトフ・ペンデレツキは、20世紀ポーランドの前衛音楽の確固たる先駆者、代表的人物となった。ユネスコのインターナショナル・ロストラム・オブ・コンポーザーズを受賞した広島の犠牲者に捧げる哀歌は、ポーランド楽派や前衛音楽の歴史に新たな1ページを開いた。この哀歌は、当時最も素晴らしい、最も重要な音楽作品の1つと評価された。

ポーランドの有名デザイナー、ゴーシャ・バチンスカが同席した私との最後のインタビューの中で、ペンデレツキは、「広島はシンボルであり、私はこの悲劇の犠牲者に関する作品を書かなければならないと、本当に思ったのです。だから、この哀歌を書いたのです」と語った。

1999年、クシシュトフ・ペンデレツキは、「ペンデレツキ・フェスティバル」で日本フィルハーモニー交響楽団の招聘を受けた。2003年には、この偉大な作曲家は、パシフィック・ミュージック・フェスティバルのレジデント・コンポーザーとして日本を訪れた。2004年には、クシシュトフ・ペンデレツキは、「芸術の発展、普及、向上に比類なき貢献をした」として、日本美術協会を代表して天皇家から授与される国際的な芸術賞、高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した。

ポーランドの文化大臣、ピョトル・グリンスキはこう綴った：「ポーランドの文化は今日、多大な、取り返しのつかない喪失を被った。ポーランドの最も偉大な現代作曲家のマエストロ、クシシュトフ・ペンデレツキだ。彼の音楽は日本からアメリカまで、あちこちで聴かれたことだろう」。

この偉大な作曲家は、妻のエルジュビェタ・ペンデレッカと共に、世界中の若い音楽家のための劇場センター、クシシュトフ・ペンデレツキ・ヨーロッパ音楽センターで、次世代のために、忘れることのできない膨大な音楽コレクションを構築してきた。彼のコレクションは、世界中の子どもたちに、彼の音楽を学び、それぞれの才能を伸ばし、芸術に打ち込む中で成長する機会を提供することになる。

芸術の価値や音楽の価値について話す時、クシシュトフ・ペンデレツキは次のように理由を説明していた。「私は音楽制作では、作者より長く生き続けるということが最も重要だと常に信じてきました。私にとって、それは他のどんなことよりも重要なのです」。

アレキサンダー・ウッドマンは、湾岸諸国を拠点に活動する作家。彼の研究対象には、国際医療、国際医療政策開発、多国籍・多文化医療政策、倫理学、外交などがある。 [email protected] インスタグラム @thelandofadat