

コロナウィルスパンデミックは多くのレストランを空っぽにしたが、東京のある店は何人かのモデル客に頼ってソーシャルディスタンスを実施している。生きているような姿のマネキンが食事客の近づき過ぎを防いでいるのだ。
竹峰正人の中華料理店は、この都市の多くの企業が客不足問題に取り組んでいるにもかかわらず、忙しそうに見える。店のテーブルに座る客たちの中には、華麗な中国風のドレスを着た女性や着物姿の女の子がいる。
しかし、実は16人の客はマネキンで、食事客が近づき過ぎるのを防ぐため竹峰がテーブルにランダムに置いたものだ。
「最初はテーブルを取り除いて間隔を広げましたが、とても寂しく見えました。まるで改装中の店のようでした」と、竹峰はAFPに語った。
「これらのマネキンにより、外からは店が忙しそうに見えます。客には確実に距離をとってもらうことができます」
「面白みもあり、陽気な感じを与えてくれます」と、彼はクスクス笑った。
日本はコロナウィルスによる被害が最も大きいところでも、これまで壊滅的な状況になるのは回避してきた。しかし多くのレストランは緊急事態の間閉店し、5月に解除された後も飲食店の客が外食を避けてきた。
東京の繁華街にある竹峰のレストラン麒麟菜館は5月下旬に営業を再開したが、ウィルス前よりも客の数が約半分に減ったという。
戻って来た客の1人が、51才の木村哲也だ。木村は店の再開後、最初に入り口ののれんをくぐって店に入った時、マネキンが目に入ったと話した。
「それらの人形はとてもリアルに見え、慣れるのに少し時間が必要でした」と彼は言い、子供のマネキンと共有するテーブルでラーメンを頬張った。
このレストランの別の常連客である大友武一(82才)は、最初あまりに驚いた様子を見せないようにするのに苦労したという。
「今でもここに来るとドキッとします」と、彼は真顔で述べた。「ばかげたアイデアです!」
マネキンはレストランをあまりにガラガラに感じさせないようにしている一方で、竹峰はよく、客たちが家族や友人と一緒に店を訪れ、大皿の料理を分け合いながら気楽に笑ったりおしゃべりを楽しんだりできる時が来るのを恋しく思うと話した。
「そのような時代に戻るには、何ヶ月もかかると思う」と、彼は述べた。
「普通に戻ることをただ願いながら、人々が安全に飲食できる環境を作っています」
AFP