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音楽媒体の変化 : CD からストリーミングサービスに移行する日本の音楽ファン

過去 10 年間の売り上げが徐々に減少しているにもかかわらず、日本ではCD がいまだ最も普及している音楽フォーマットであり、昨年の録音音楽の売り上げの 70 パーセントを占めている。シャッターストック (Shutterstock)
過去 10 年間の売り上げが徐々に減少しているにもかかわらず、日本ではCD がいまだ最も普及している音楽フォーマットであり、昨年の録音音楽の売り上げの 70 パーセントを占めている。シャッターストック (Shutterstock)
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10 Nov 2020 03:11:03 GMT9
10 Nov 2020 03:11:03 GMT9

東京: 日本の音楽愛好家は、世界の他の地域がオンラインに移行した後もずっと CD 派だったが、ついに取り出しボタンに手を伸ばし、ストリーミングサービスへと移行し始めた。パンデミックのため、アーティストは店頭でのイベントを取りやめ、ファンは家に留まることとなる。

過去 10 年間の売り上げが徐々に減少しているにもかかわらず、CD はいまだ日本における最も普及している音楽フォーマットで、昨年の録音音楽の売り上げのおよそ 70 パーセントを占める。アメリカやヨーロッパ市場では、オンラインでのダウンロードや最近ではストリーミングが支持され、CD はもう長い間、過去の記憶でしかなくなっている。

ストリーミングサービスは、数年前まで日本では 10 パーセントにも満たなかったが、昨年は 15 パーセントとなり、今年は 20 パーセントを超える可能性が高い、とエンダーズ・アナリシス (Enders Analysis) で日本のメディアビジネスを取材するジャミー・マクエワン (Jamie MacEwan) 氏は話した。

世界の音楽産業はこの変化を注視している。というのも、毎年 30 億ドル近い市場価値を持つアメリカに次いで、日本は世界第二位の大きな音楽市場であるからだ。

「デジタル全体の収入が現物製品を覆い隠すこととなる転換点は、もはや時間の問題でしかない」、とマクエワン氏は話した。

未だ日本では大きな存在感を持つ、タワーレコード (Tower Records) のような CD 販売店に損害を与えることにとどまらず、この変化は、小さな国内の競合相手同様、日本に4 年前に参入したばかりのアマゾン (Amazon) やスポティファイ (Spotify) のようなストリーミングサービスのさらなる成長の兆しでもあるかもしれない。

タワーレコード・ジャパンは、日本で 80 を超える店舗を展開しており、データを公表しているわけではないが、パンデミック以降、消費者が外出を手控え、アーティストが新しいリリースと、その販売促進イベントを取りやめているため、深刻な経営状況の悪化に苦しんでいると述べた。

「通常に戻るまでにはまだ長い時間がかかることと思います」、と 2002 年の経営陣買収の後、現在は倒産したアメリカのチェーンから独立した店舗の広報担当である、やがわたつろう氏は話した。元に戻ることに対し、まだ彼は楽観的だった。

「日本の音楽ファンは、お気に入りのアーティストへの支援を表明するのに、CD を買うことが好きです。お客様が CD を買うのを止めてしまうとは私は思いません。」

日本で CD がこれほど普及したままでいる一つの大きな理由は、レコード会社が、コンサートチケットの優先購入券や握手会への招待状を含む、ポップアイドルのファン向け特典を CD シングルやアルバムにしばしば同封しているからだ。

こうしたイベントやコンサートは、パンデミックが原因で直近の数か月はほとんどがキャンセルされるか規模が縮小されたが、中にはオンラインに移ったものもある。

日本最大と名を連ねる音楽レーベルでエンターテインメントグループのエイベックス (Avex) は、8 月に初めて、同社の毎年行うフェスをオンラインで開催した。

ベテランシンガーの浜崎あゆみや、K-pop グループのレッド・ベルベット (Red Velvet) を含む公演が行われ、このイベントは、無料有料を含め、160万もの視聴者を魅了し、売り上げが落ち込み窮地に立たされていたビジネスにとって、稀にみる追い風となった。

しかし、エイベックス最高経営責任者の黒岩克己氏は、同社の上半期の損失を報告した後の金曜日、投資家と会談し、大規模なオンラインイベントに同社が乗り出した経済的結果には、相反するものが内在する、と評した。

一つに、エイベックスが学んだことは、オンラインでも多くの観客を魅了することはできるが、実際のイベントよりも、はるかに安い価格でチケットを販売せざるを得ないということ、つまり、ライブストリームイベントをより追及すると向き合うことになる苦境についてだ、と彼は話した。

今のところ、 CD の売り上げは、ストリーミングサービスにおける新しいヒットがないため維持されており、レコード会社が望む現物の売り上げとの共食いを避けられている。

しかし、CD の売り上げには減少する変化が見られ、レコード会社は、お金がストリーミングに移っていることを認識している。シンガーソングライターの米津玄師や、ベテラン男性アイドルグループの嵐のヒットチャート上位のシングルは、今スポティファイで聞くことができる。

「国内レーベルは、彼らの商品を、現物でのリリースに近い程度に、ストリーミングで視聴できるようにすることとなり、来たる数年で、デジタルへの移行が加速するだろう」、とマクエワン氏は話した。

しかし、スポティファイやアップル・ミュージック (Apple Music) が主要なストリーミングサービスである他の市場とは異なり、LINE ミュージック、エイベックス独自のアワ (AWA) やレコチョクのような日本固有のストリーミングサービスは、J-pop ファンをターゲットにしたライブストリーミングやその他コンテンツを提供することで、有利であるかもしれない、とも彼は話していた。

「このことは、他の場所で見られるような、アップルとスポティファイの二強支配の台頭を防ぐこととなるだろう」、とマクエワン氏は言った。

ロイター

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