ジェッダ:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、消費者はウイルス感染前のライフスタイルに疑問を持ち、より衛生的で健康的かつ環境に優しい行動をとるようになり、世界的に健康意識が高まっている。
サウジアラビアの人々も例外ではない。多くの人々がより健康的なライフスタイルや習慣を取り入れ、健康増進や病気の予防のために天然素材の製品を求めており、その結果、環境に優しい天然素材やオーガニックの美容製品の需要が高まっている。
モルドールインテリジェンス(Mordor Intelligence)社が最近発表したサウジアラビアの美容市場に関する2021年から2026年までの予測によると、天然素材、オーガニック、ハーブ、ハラル製品、そして革新的で環境に優しいパッケージやデザインへの需要が高まっている。
自然素材のセルフケア製品や化粧品を提供する地元の若い企業は、消費者の製品への関心の高まりを感じている。
サン・ファーマシー(Sun Pharmacy)社のオーナーであるアマニ・ダグリリ(Amani Daghriri)は、アラブニュースの取材に対し、「パンデミックの影響で、人々の健康に対する意識が高まり、より健康的なライフスタイルを求めるようになり、当社の製品に対する需要が高まっています」と語った。
サン・ファーマシー(@sun_pharmacy)は、サウジアラビアで作られた完全オーガニックのデイリースキンケア・パーソナルケア製品を専門に扱う、同国で初めての薬局である。
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「すべての危機には明るい面があり、パンデミックは私たちの成長を確実に助けとなっています。特にeコマースへの移行により、より多くの方に当店のことを知っていただき、商品を試していただくことができました」ともダグリリは語った。
ダグリリは、肌に塗る成分や処方の安全性を優先する人が増えてきたと語り、それこそ彼女が人々に伝えたかった事柄であった。
「肌は体の中で最も大きな器官であり、私たちの免疫の最初の砦でもあります。そこに化学物質を塗ると弱ってしまいますが、私たちの細胞や体の構造に近い天然物質を肌に塗ることで、肌の輝きや健康を保ち、ひいては体全体の健康を保つことにもつながります」とダグリリは語った。
サン・ファーマシーでは、歯磨き粉やデオドラント、シャンプーなど、日常的に使うセルフケア製品を求める消費者をターゲットにしている。しかし、顧客の多くは、20歳から60歳までの女性である。
天然素材製品市場の急成長は、人々の意識の高まりを反映しているとダグリリは語る。「この市場は非常に急速に成長しています。私が5年前に始めたときには、この分野で働いている人は10人もいませんでしたが、今では数えるのが難しいほどです」
手作りの天然素材製品は、費用対効果が高く、簡単に作ることができ、消費者にとっても魅力的なものだと見られることが多いが、ダグリリは、多くの知識を必要とする工芸品的なところもあり、高価で価値が高くなることもあると強く説明する。
ダグリリは天然素材製品業界の経営者は、ビジネスを支え、製品ラインを拡大するためだけでなく、消費者により良いサービスを提供し、信頼を得て、誤解をなくすためにも、必要な知識を得る必要があると考えている。
パンデミックのおかげで、家庭でスパを行う人も多くなり、DIYや自然派セルフケアのレシピの市場が世界的に大きく成長した。「どこでも多くのDIYレシピを目にしますが、多くのレシピは難しかったり、製品がすぐに腐ってしまったり、あるいは正しく作用しないことが多くおこったりします」とダグリリは語る。
ダグリリは、この分野への投資は、自分の能力に自信を持ち、消費者の信頼を得るために、製品を正しく生産するための知識が必須だと語る。
サン・ファーマシーは、サウジアラビア食品医薬品局(FDA)から独自のラボを設立し、自社製品を製造することを許可されている。
「この分野で働く人たちにとって、FDAの手続きは以前と比べてずっと簡素化しました」とダグリリは語る。「以前は、許可は工場での生産が条件とされましたが、その後、工場を建てるまでの規模になるまでは、自宅や家内工業的な場所で製品を製造することも例外的に許可が出るようになりました」
ダグリリはまた、製品登録がオンラインで可能になったことで、登録済みの企業であれば、どこでも新製品の概要を提出し、承認を得て市場に出すことができるようになった。
サン・ファーマシーは、ダグリリ自身のライフスタイルや信念、理念を忠実に守っており、それがこの種のビジネスには欠かせないことだと考えている。
「天然素材化粧品などは利益追求型のビジネスではなく、成長するためには情熱と信念が必要です」とダグリリは語る。「努力すればするほど良い結果が得られると信じています」
ダグリリは自分の製品の有効性に自信を持っており、「クリーンビューティー」業界におけるサウジアラビアの代表的なブランドとして、より広い中東・北アフリカ(MENA)地域で展開していきたいと考えている。
エセンス(Essence)社(@essence__sa)もまた、サウジアラビアの若いスタートアップで、サウジアラビアの消費者に自然なハンドメイドのセルフケア製品を提供している。
インスタグラムをベースにした店で、母親のロンダ・ハワードと娘のルジャイン・マリバリの二人によって運営されている。
マリバリはアラブニュースの取材に対し、「私たちは常に天然素材のスキンケア製品を使うことに情熱を注いできました。私たちのお気に入りを、お客様や私たちと同じ情熱を持つ人々と共有したいと思っています」と語った。
エッセンスは、女性向けの自家製天然エッセンシャルオイルを使ったスキンケアを提供しているが、今後は男性向けの製品ラインを展開する予定だ。
マリバリ次のように語っている:「肌に天然素材を用いた治癒法に興味を持ち、そもそも製品に何が入っているのかを知りたいと思う人が増えています。この傾向は、サウジアラビアでも見られます」
パンデミックの影響で、エッセンスなどの若いブランドの売上が伸びている。
しかし、マリバリはこうも語っている:「そもそもロイヤリティが高い顧客は引き続き得意客でい続けてくれていますが、新規顧客の獲得が難しくなっています」
手作り製品を使う人にとって、製品の安全性は大きな関心事であり、ダグリリは、すべての天然成分がすべての人の肌に合うとは限らないので、成分が記載されていない製品の購入は控えるようアドバイスしている。
また、天然素材製品の安全性を確保するためには、パッケージや適切な保管方法も重要である。
「私たちは、最高の素材を使い、製品を作る際の衛生管理にも誇りを持って取り組んでいます。エッセンシャルオイルをベースとする当社製品の品質を落とさない安全な容器に梱包されていることも確認しています」とマリバリは語っている。
事業規模の大小にかかわらず、天然素材製品を使った美容業界で働く人々は、健康的なライフスタイルや健康的な美しさを実現する方法をお客様に伝える責任も担っている。サン・ファーマシーとエッセンスは、そうした知識をメッセージとして伝えるだけでなく、マーケティングの重要な要素としても捉えている。
「お客様に最高の品質を提供するために、私たち自身の社内教育にも力を入れています」とダグリリは語る。
エセンスとサン・ファーマシーの2つのブランドは、ジェッダに拠点を置くサウジアラビアの誇るローカルブランドで、いずれも自宅からビジネスをスタートさせている。この2つのビジネスは、商務投資省が立ち上げたオンラインショップ用のプラットフォームであるマル―フ(Maroof)に登録されている。
「最初にこのビジネスを始めた時、何よりも嬉しかったのは『サウジアラビア製』のラベルを貼ることです。今でもこのラベルを貼るたびに、私は喜びと誇りを感じます」とダグリリは語る。