

ナジア・フッサリ
ベイルート:全国的なディーゼル燃料危機が壊滅的な水準に達したため、レバノンの多くの重要な国営施設が48時間以内に全面的な業務停止を行うと警告している。
13日には、全国のガソリンスタンドやパン屋、薬局に長蛇の列ができ、停電や自家発電機を動かすディーゼル燃料が不足する中、人々はビルの屋上で夜を明かした。
かろうじて閉鎖を免れた国営施設がベイルート・ラフィーク・ハリーリ国際空港だ。土壇場でのディーゼル燃料で営業を続けられることになり、功を奏した形だ。
「石油輸入会社は、値段の付け方がわからず、スタンドにガソリンやディーゼルを届けられていない」と、レバノンの石油輸入企業会会長のジョルジュ・ファイヤード氏が語った。
「中央銀行は闇市場の為替レート(1ドル=2万レバノンポンド)を採用すると発表した一方、エネルギー省は1ドル=3900レバノンポンドのレートを採用したままだ」。
最近の燃料不足は、レバノンポンドがその価値の90%を失い、人口の半分以上を貧困に陥れてきたこの2年間の金融危機の中で、最低の逼迫水準の1つになっている。
「支配当局と中央銀行の綱引きが、国民、スタンドの経営者、燃料業界全体を苦境に陥れている」と、ガソリンスタンド経営者組合の会員のジョージ・ブラックス氏が語った。
「市民はその結果に苦しめられている」。
国営通信会社オゲロは、「燃料不足のため」レバノン北部のアッカール地域で、サービスを停止したと発表した。
通信省のタラル・ハワト暫定大臣は、同省が来月の午前0時から午前7時の間、国内のインターネットサービスの常時遮断を計画しているという噂を否定した。
南部や北部の若者グループがディーゼルタンクを輸送中に捕まえ、積荷を没収した一方、ダムールではガソリンスタンドでの燃料をめぐる殴り合いが銃撃戦に発展した。
ベイルートとレバノン山脈のパン屋経営者組合書記官のナセル・スロウル氏は、燃料危機により「数十軒のパン屋が店を閉めた」と経済大臣に報告したという。
ガス業界労働者・流通業者組合の代表であるファリド・ゼイヌーン氏は、ガスの備蓄量は「5日間は十分に持つ」と発表し、中央銀行に対して「20日間海上に停泊しているガスタンカーの入港を許可する」よう求めた。
この危機がきっかけとなって、市民の国外脱出も起きており、全国のレバノン公安総局では長い列ができ、毎日4000から5000件のパスポート申請が提出されている。
「移民申請のためにパスポートを求める若いレバノン人が何千人も来ています」と、公安関係筋は語った。
公安総局は、「前代未聞」のパスポート申請ラッシュと表現した。
13日のミシェル・アウン大統領とマロン派総大司教のマル・ビシャーラ・ブトロス・アル・ライ氏との会談では、新政府の迅速な樹立を求めることが焦点となった。
同聖職者は、「全ての政党の利害を超越する有能な人々で構成された」政府を求めた。「この政府は、困難に立ち向かい、様々な分野で構造改革を実施する準備ができている必要がある」。
12日、中央銀行のリアド・サラメ総裁は、議会がこの問題の法制化をしない限り、燃料を補助するために、法定準備金に手を付けることはないと述べた。その結果、石油輸入企業は、価格設定に関する合意が得られるまで、スタンドへの燃料供給を行わないことを決めた。
中央銀行の決定は、困窮者向けの配給カードが発行されるまで燃料の補助を続けるようサラメ総裁に圧力をかけようとしていた支配当局を困惑させた。
「配給カードは50万世帯に配布され、1人あたり約17ドルが割り当てられる予定だ」と、ガジ・ワズニ暫定財務相に近い関係筋がアラブニュースに語った。
同関係筋によると、レバノンは世界銀行から3億ドルの援助を受け、また配給カードの資金を賄うために、国際通貨基金から9月に8億6000万ドルの援助を受ける予定だという。15万の困窮世帯を支援する世界銀行の別のプログラムもある。
「しかし、全ては政権樹立次第だ」と、同関係筋は述べた。「9月までには解決されると我々は見込んでいるが、それより早まることはないだろう」。