






アブハー:多芸多才な「何でも屋」のサウジアラビアの若者がクリエイティブな才能と料理への愛を基に、アブハーの元警察署だった建物を伝統的なサウジ料理のレストランに変身させた。
イブラヒム・ビン・マンスール・バシャシャー・アル・アシリ氏が経営するアル・ホスン・アル・トゥラシ(またはアブハー城ヘリテージ・レストラン)は、今や有名な観光名所で、サウジアラビア南西部の歴史あるこの街を訪れる観光客に南部の伝統料理を提供している。
サウジアラビアやアラビア湾岸諸国からの常連客が、南部の味を楽しむために定期的にこの店に通ってくる。
プラスチックアーティストでギフト・フラワーデザイナーでもあるアル・アシリ氏は、このレストランは以前は彼の兄が経営するカフェだったとアラブニュースに語った。
「この建物はもともと、アシール地方の警察署だった。特徴的なデザインをかき消してしまうほどのあくの強い修正や付け足しはしたくなかった」と、アル・アシリ氏。
「40~50年ほどのこの建物の歴史を訪れた人に感じてもらうことが一番の目標だった」
「何でも屋」であるアル・アシリ氏は、自分の持つ能力を生かし、カフェをレストランに変えることで街の遺産であるこの建物を保存するために役立ちたいと考えた。
彼は照明とアートの才能を使って、この場所を訪れた人々を過去の時代に連れ戻すような伝統を表現する店へと変身させた。
当初は朝食のみを提供する店だったが、あっという間にメニューが増え、一日中食事が提供されるようになった。
店内で見られるアートの一つは、アル・カット・アル・アシリ。伝統的に女性の部屋の壁に施される装飾で、アシール地方の歴史の重要な要素の一つとされている古代の芸術技法だ。
アル・ホスン・アル・トゥラシは二人の人物によって成り立っている。調理とアート方面の作業を担当するアル・アシリ氏と経営を担当する彼の兄だ。
「アブハーでは特に、人気の南部料理を提供するレストランの数は多くない。ハミース・ムシャイトにはたくさんの人気店があるけれどね」と、彼は言う。
アル・ホスン・アル・トゥラシの目玉メニューの一つはアル・アリカ。南部の伝統的なデザートで、全粒粉をぬるま湯と油、ギーで混ぜてつくった種に蜂蜜とカルダモンを少々混ぜ込んで味つけしたものだ。
この店は、「ミヴァ(miva)」または南部の「タンノール(tannour)」パンを提供する初めてのレストランでもあるとアル・アシリ氏は語り、自分は伝統的なサウジ衣装を着て料理する王国初のサウジ人料理人だと付け足した。
アル・アシリ氏はまた、アシリ・ブーケも創立し、香り高い地産の植物のギフトコレクションを制作し、王子やその他話題の有名人に贈っている。
アル・ホスン・アル・トゥラシ・ヘリテージ・レストランは地域の生産者を支援している。コーヒーやホットドリンクのコーナーは姉妹の一人で企業経営の修士を持つウム・ジョウド氏が担当し、伝統的な素材を使ったホットドリンクの準備などを監督している。
アル・アシリ氏はサウジアラビアの若者に仕事を頑張るよう呼びかけ、サウジアラビアは現在「ビジョン2030」の目標達成のために多くの機会を提供していると語る。「忍耐強く動き続け、自分の持つ能力を活用してトップに到達しようと努力し続ける必要がある。だから、諦めずに頑張り続けなくてはいけない」と、アル・アシリ氏は言う。