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「きっと勝つ」、食べる幸運のお守り

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28 Nov 2021 02:11:05 GMT9
28 Nov 2021 02:11:05 GMT9

ナダル・サモーリ

大阪:日本を訪れる観光客は、目にするキットカットの種類の膨大さに驚き、なぜこんなにも多くの味があるのか、その謎と不思議さに思いを馳せずにはいられないだろう。

製菓会社のネスレジャパンによれば、日本人は1日に500万個のキットカットを消費しているという。

キットカットが他に例のない市場戦略を始めたのは、勝利を確信する意味の日本語、「きっと勝つ」との語呂合わせに気づいてのことだ。

このつながりに気づいたネスレは、それをうまく活用し、キットカットを幸運のお守りとして打ち出すという方向転換を行った。このマーケティングキャンペーンは成功し、日本文化にしっかりと根づいていくための転換点を迎えた。

キットカットは通常小さな紙の箱に包装されており、箱の一面には白いスペースが設けられ、メッセージを書き込めるようになっている。プレッシャーが増す受験シーズンが近づくと、人々はキットカットに一言書き添えたり、箱をデコレーションしたりして、主に学生の家族や友人を励ますのだ。

ネスレは日本で大学入試が実施される1月にキットカットの売上が急増することに注目した。結果として、「幸運のお守り」プロモーションキャンペーンは、アジアン・ブランド・マーケティング・エフェクティブネス・アワードを受賞した。

一般的なキットカットのイメージとは異なり、少なくとも日本では、スーパーのキットカットコーナーはお菓子売り場というよりはお土産屋さんのように見える。日本にはお土産用のキットカットショップや高級専門店もあるのだ。

わさび、抹茶、苺味など、非常にたくさんの種類があるキットカットは日本中で大人気だ

「箱にメッセージを書いたキットカットをあげたりもらったりした経験は何度かあります。メッセージ付きにできるようなお菓子の包装は、ひとつの文化になりつつあると思います」と、京都の有名な電機メーカーに務める勤務するナガバタケ ミキさんは言う。

ナガバタケさんは続けて、

「大学受験の前に、高校の先生たちから応援のメッセージが書かれたキットカットをもらいました。先生たちは試験会場の前で私たちにキットカットを手渡してくれたんです。あたたかいメッセージは、元気をくれました。それに、チョコレートのおかげで集中できました」

プレゼントを贈ったり「おみやげ」を渡すことは、非常に印象深く、もらった人にとっては心理的に力づけられるものだ。受験や本番の舞台など、何かに挑戦する前に圧倒されて弱気になっている時には特に。

「大学では音楽サークルに入っていました。一度、演奏の機会があった時、友人たちが舞台に上がる前に私のところに来て、うまくいくようにお守りとしてキットカットをくれたことがありました」と、ナガバタケさんは語る。

箱入りのチョコレートであれ、他のどんなプレゼントであれ、何か物理的に形のあるものを持っていれば、それにまつわる気持ちも常に思い出すことができる。心はその想像されたつながりを受け入れ、メッセージとその物を結びつける。そのイメージこそが、キットカットが日本で「幸運な商品」になった理由だろう。

箱入りのキットカットは日本の郵便局でもよく売っている

だが、キットカットのお守りがすべて効力を発揮するわけではない。

「大学受験の前に、先生から箱入りのキットカットをもらったことがあります。裏には心あたたまるメッセージが書かれていました。決して忘れられない思い出ですが、受験には失敗して他の大学に行くことになりました」と、モリヒロシさんは話す。無事に大学を卒業し、現在は東京の技術系企業で働いている。

同様に、トルコやレバノンなど中東・北アフリカ地域のいくつかの国では、別の抽象的な幸運のシンボルがあって、ずっと昔から、幸運を呼び寄せたり邪悪なものを退けたりするために、生まれたばかりの赤ん坊の服や新車の中に飾られてきた。人や物を悪運から守るといわれている青い目のペンダントだ。

幸運を呼び寄せるといわれる青い目のビーズ

青い目のビーズはもともと、主に地中海地域で広くつくられ始め、フェニキア、アッシリア、ギリシャ、オスマンなど多くの文明をめぐってきたと考えられている。戦争の際に攻めてくる兵がもたらす危害を跳ね返す方法の一つとして始まったものかもしれない。

アンカリング効果は非常に影響力が強く、精神的な連想は何世紀にも渡って印象を残す。だからこそ、人はどんな言葉やイメージが結びついているかに注意を払い、真実と、文化的な影響で生まれた想像の産物とを区別することが重要なのだ。

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