アラブニュース・ジャパン
東京:東京都医学総合研究所などの研究チームは、天然痘ワクチンを改良した新型コロナウイルスワクチンを開発し、動物実験で発症予防効果を確認した。天然痘ワクチンは全世界で200年にわたり使用された実績があるが、副作用がほとんどなく、終生免疫を得ることが期待できるという。
研究を主導する医学博士の小原道法・特別客員研究員はアラブニュース・ジャパンの取材に、このワクチンは、より弱毒化した天然痘のワクチン「ワクシニアウイルス」のDIs株にSARS-CoV-2遺伝子を導入した組換え生ワクチンであり、大きな可能性を持っていると述べた。
「一度の接種で終生免疫の獲得が期待でき、新型コロナを攻撃する抗体と感染した細胞を排除する細胞性免疫の両方を誘導できます。また変異株にも対応できるほか、接種後一週間で予防効果が生じ、冷蔵または常温で保存が可能などのメリットがあります。マウスだけでなく、人に近い反応をするサルでも効果を確認しています」
当初、日本は新型コロナワクチンの開発で欧米諸国に遅れを取っているように思われた。これについて小原氏は、「日本は法律の規制が多く、多くの段階の許可を取る必要があります。私たちのワクチンも遺伝子組換えなので様々な規制を受けました。しかし、コロナ禍でスピードは改善されてきています」と語った。
また日本はワクチンに関して慎重だったが、それほど接種を心配する必要はないという。
「ワクチンの害に関する考えは日本でも昔からあります。日本でも天然痘にかかると50パーセントが亡くなっていましたが、ワクチンを受けると病気にかかるという考えから、ワクチンがひどく排斥されたこともあります。いつの時代にも新しいものに対する恐怖感があり、人間の正しい反応だと思います。わかってもらう努力を続ける、必要性を言い続けることが大切です。遺伝子に影響するのではと心配する声がありますが、mRNAは分解されやすく遺伝子の中に入ることはありません。安全性はかなり高いと考えられます」
新しいワクチンが実際に使用できるようになるのは、臨床試験を経て2024年以降になる見込みだ。