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FIFAワールドカップの熱狂が、カタールのラクダたちに負担となる

FIFAワールドカップ開幕以降、ラクダたちは15〜20回、時には40回ものライドを休みなく行っている。(AP)
FIFAワールドカップ開幕以降、ラクダたちは15〜20回、時には40回ものライドを休みなく行っている。(AP)
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29 Nov 2022 12:11:35 GMT9
29 Nov 2022 12:11:35 GMT9
  • FIFAワールドカップの1ヶ月の開催期間中、カタールには100万人以上の観客が訪れるため、ラクダでさえも時間外労働をしている

メサイード、カタール:シャーヒーンは砂の上で体を伸ばすと目を閉じた。しかし、ラクダには休む時間はほとんどない。なだらかな砂丘でラクダに乗るというInstagramに完璧なシチュエーションを求め、ドーハ郊外の砂漠にはワールドカップの観客らがぞくぞくと訪れる。

カタールは1ヶ月のワールドカップ開催期間中に100万人以上の観客を迎え入れるため、ラクダでさえも残業している。かつてないほど大勢の観光客がこの小さな首長国を訪れ、試合の間に、ラクダ乗り、ハヤブサとの写真撮影、歴史的なマーケットの路地探索など、湾岸諸国旅行でやりたいことリストを急いで実現しているのだ。

金曜の午後、サッカーのユニフォームを着たり国旗を被った数百人の人々が、ラクダに乗る順番を待っていた。立ち上がらないラクダたちを調教師が無理やり立たせていた。一頭のラクダが大きく唸り声をあげると、オーストラリアから来た女性が甲高い声で「まるで暴行を受けているようだわ!」と叫んだ。近くでは、カタールの白いトーブと頭飾りを身に着けたメキシコの男性グループがセルフィーを撮っていた。

オーストラリアから1週間の日程でカタールを訪れていたアルゼンチン人のフアン·ガウルさん(28歳)は、ラクダに乗ったあと「背がとても高くなったような感じで、本当に素晴らしい気分でした」と語った。

ワールドカップのおかげで、調教師たちはこの機会を利用し通常の数倍の収入を得ている。

スーダン出身でラクダ遊牧民ベドウィン族のアリ·ジェイバー·アル·アリさん(49歳)は、「たくさんのお金が入ってきます。ありがたいことですが、大きなプレッシャーです」と語った。

アル·アリさんは15年前にカタールにやってきたが、子供の頃からラクダとともに仕事をしてきた。アル·アリさんによると、ワールドカップ開催前、彼の会社は1日あたり平均、平日で約20回、週末で約50回のライドを行っていたという。ワールドカップ開幕後は同僚たちと合わせて、午前500回、夕方500回になり、会社はラクダを15頭から60 頭に増やしたという。

アル·アリさんは「ツアーガイドは事を迅速に進めようとするので、私たちにプレッシャーをかけてきます」と語った。

彼らの周りに群衆ができると、口に布製のマズルをつけ、光るサドルを背負った多くのラクダたちが彫像のように座った。糞の臭いが辺りに漂った。

他の湾岸の文化同様、かつてラクダはカタールの人々にとって重要な交通手段をであり、貿易ルートの探索と発展に尽力した。今日、ラクダは文化的娯楽となっている。郊外の昔ながらのレース場で行われるラクダレースは人気のスポーツだ。

アル·アリさんはラクダが疲れているときはわかり、たいてい立ち上がるのを拒んだり、さっと立ち上がった後に座ってしまったりするという。また体の特徴でラクダを見分けることができるという。

「私はベドウィン族です。私はラクダを大事にするベドウィン族の家庭出身です。ラクダを愛して育ちました」とアル·アリさんは語った。

しかし、観光客の急激な増加で、ライドの間に休む時間が減っていると彼は言う。ショートライドは10分間だが、ロングライドは20分~30分にもなる。

アル·アリさんによると、通常、ラクダは5回のライドを終えると休憩を取ることができる。「今は、お客さんが待てないというので…みなさん、砂漠で次にやりたいことがあるので」と彼は言った。

ワールドカップ開幕以来、ラクダは15~20回、時には40回ものライドを休みなく行う。

1日は朝4時半、ラクダたちに餌を与え、客を載せる準備を整えることから始まる。

観光客の中には、完璧な日の出の写真を求めて明け方にくる者もいるという。「だから彼らとともに仕事を開始し、彼らのために写真を撮らなくてはなりません。」

正午から午後2時までは、調教師もラクダも休憩を取る。「その後、午後の戦いに備えて準備を整えます。」

しかし、すべての観光客がラクダ乗り体験に夢中になっているわけではない。

ブエノスアイレスから来た不動産業のパブロ·コリリアーノさん(47歳)は、より本物の体験を求めているという。エクスカーションは、工業都市メサイードの広大な石油精製所からそう遠くないハイウェイ脇に広がる砂漠から始まる。

「もっとワイルドなものを期待していました」とコリリアーノさんは語った。 「砂漠を横断するつもりだったのですが、到着すると典型的な観光地が見えました。」

その後すぐに、コリリアーノさんと友人たちは、砂漠を走る砂丘バギーを探した。

AP

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