ダウド・クタブ

• 大統領選に出馬しないことに同意したハマスはその後、大統領選2ヵ月前の立法投票を容認することに同意した。

アンマン―パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領は、アラブのことわざを用いて、イスラエルによるパレスチナの選挙への介入の試みを批判した。

ファタハ運動の長官であるジブリール・ラジューブ氏は、シャバク（イスラエルの国内防諜保安機関）トップであるナダブ・アルガマン氏が、ハマスを含めた共同リストを作成しようとする彼らの努力を阻止しようとした、と述べた。

「アルガマン氏は、パレスチナ大統領の関連施設を訪れ、我々すべてに対して脅しをかけてきた」。ラジューブ氏はパレスチナ・テレビでこう述べた。イスラエル首相からのメッセージを持ってきたというこのイスラエル高官は、米国の高官に付き添われていた。パレスチナの情報筋は、その米国の高官が米国の諜報機関の関係者であると確信している、と述べている。

アッバース氏は、流ちょうなアラビアを話すこのイスラエル高官に対し、「コーヒーを飲んでください。神の御加護がありますように」というアラビアのことわざを使用しながら返答した、と報じられた。これは、要求の丁寧な断り方だ。

アラブのことわざの専門家であるリナ・ハダッド氏は、アラブ人は、きつい言い方を避けるための間接的な方法として、ことわざを用いると述べた。

「アッバース氏は、相手に自分の客人としてコーヒーをもてなすことにより、親切にしているが、そのもてなしを悪用してはならない、というメッセージを送りたかったのだ」。ハダッド氏はアラブニュースに対し、このように述べた。

ラジューブ氏は、アルガマン氏の上司であるベンヤミン・ネタニヤフ首相を激しく非難し、同首相は「ムッソリーニよりひどい」と述べた。

ファタハ、ハマスの共同リストのアイデアは最初、ラジューブ氏とハマス副代表のサレ・アルリ氏が2020年にイスタンブールで行った会談で言及された。

大統領選を戦わないことに既に同意していたハマスはその後、大統領選2ヵ月前の立法投票の実施を認めることに同意した。

ファタハ中央委員会の元メンバーであるナセル・アルクワダ氏は、共同リストに関するアイデアに強い口調で反対する声明を発表した。同氏は、このアイデアが「非民主的」であり、「人民をだしにした個人的利益のにおいがする」と述べた。

アルクワダ氏はその後、パレスチナ民主総会を設立し、現在は非ファタハの独立したパレスチナ人のリストに載って出馬しようと計画している。アッバース氏は、アルクワダ氏をファタハ運動から除外し、ヤーセル・アラファート基金の代表の職を解いた。

ベテランのパレスチナ人ジャーナリストであるモハンマド・ダラグメ氏はアラブニュースに対し、共同リストは、特にハマスによるファタハと同じ数の議席の要求をはじめ、多くの問題に直面している、と述べた。また、同氏は、イスラエルの治安責任者も選挙を中止するよう脅しをかけてきており、イスラエル人を戦争犯罪のかどで裁判にかけようとする試みに対して警告を発した、と述べた。

アメリカン・セキュリティ・プロジェクトのシニアフェローであるファディ・エラサァミーン氏はアラブニュースに対し、イスラエルがハマスにヨルダン川西岸にはいてほしくないというのは、驚くに値しないと述べ、次のように続けた。「それでも、西岸で権力を握り続けるためにイスラエルの治安当局に完全に頼っているアッバース大統領が、シャバクのイスラエル人トップに対し、そのようなやり方で話をするとは信じがたいことだ。今は選挙シーズンだが、政治力を誇示するアッバース氏に悪影響を及ぼすものではない」

これまでに、パレスチナ民主戦線のものを含めて3つのリストが、出馬のための公式登録を済ませている。指名候補の受付期限は3月31日。

サラーム・ファイヤード、アルクワダの両氏などは、選挙のための自らのリストを提示していない。左翼系のパレスチナ人派閥をひとつのリストにまとめる努力も現在、続けられている。