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中国、60年以上ぶりに人口減少へ

中国は、高齢化社会と出生率の急落の中で、ここ数年で初めて全体的な人口減少を発表した。(AP通信)
中国は、高齢化社会と出生率の急落の中で、ここ数年で初めて全体的な人口減少を発表した。(AP通信)
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17 Jan 2023 05:01:25 GMT9
17 Jan 2023 05:01:25 GMT9
  • 14億人の人口を抱える中国では、労働人口の高齢化にともない出生率が過去最低水準に急落
  • 中国の人口が最後に減少したのは1960年代初頭

北京:世界で最も人口の多い国が、迫り来る人口減少の危機に直面している。昨年、60年以上ぶりに中国の人口が減少したことが、公式データで17日に明らかになった。

14億人の人口を抱える中国では、労働人口の高齢化にともない出生率が記録的な低水準に落ち込んでいる。アナリストは、この急激な減少が経済成長を阻害し、緊迫した国庫に圧力をかける可能性があると警告している。

北京の国家統計局(NBS)が発表した2022年末の中国本土の人口は約14億1175万人で、前年末から85万人減少している。

NBSによると、出生数は956万人で、死亡者数は1041万人だった。

中国の人口が最後に減少したのは、近代史上最悪の飢饉に見舞われた1960年代初頭である。その惨事は、大躍進として知られる毛沢東の農業政策の結果であった。

中国は、人口の過剰な増加を懸念して1980年代に厳しい一人っ子政策を強行した。だが2016年にそれを廃止し、2021年には夫婦が3人の子供を持つことを認めるようになった。

しかし一人っ子政策の廃止は、経済成長の原動力として長期に渡り膨大な労働力に頼ってきた同国の人口減少を逆転させることはできなかった。

ピンポイント・アセットマネジメントのジーウェイ・チャン氏は、「今後数年間で、人口はおそらく下落傾向になります」と述べた。

「中国は、経済成長の構造的推進力として人口ボーナスに頼ることはできません」と彼は付け加えた。

「経済成長は、政府の政策によって推進される生産性の伸びにもっと依存するしかないでしょう」

人口減少のニュースは、検閲の厳しい中国のインターネット上で瞬く間にトレンド入りし、国の将来を危惧する声も聞かれた。

ツイッターの類似サービスであるウェイボーへの投稿の中には、「子供がいなければ、国家と国民には未来がない」というコメントがあった。

有名な「愛国的」インフルエンサーからの別のコメントには、「子供を持つことは社会的責任でもある」と書かれていた。

しかし、生活費の高騰や現代中国での子育ての難しさを指摘する人々もいる。

「私は母を愛しているが、私は母にはならない」との声もあった。

「なぜ私たちが(子供を)持ちたくないのか、なぜ結婚したくないのか、誰も考えていない」という人もいた。

すでに多くの地方自治体が、子供を持つことを夫婦に奨励する対策に着手している。

たとえば、南部の大都市である深圳は現在、出産ボーナスを出しており、子供が3歳になるまで手当を支給している。

第1子出産時には3,000元(444ドル)、第3子出産時には10,000元が自動的に夫婦へ支給される。

東部の済南市では、第2子を持った夫婦に1月1日から毎月600元が支給されるようになった。

オーストラリアのビクトリア大学で研究者として働くシウジアン・ペン氏はAFPに対し、中国人は「数十年にわたる一人っ子政策のせいで小家族に慣れてきている」と語った。

「中国政府は、出産を奨励する効果的な政策を見つけなければいけません。でなければ、出生率はさらに低下するでしょう」と彼女は付け加えた。

アナリストは、まだまだ多くのやるべきことがあると主張する。

「子育てにかかる費用を削減するために、出産、子育て、教育を賄う包括的な総合政策が必要です」と、研究者のペンはAFPに語った。

「特に、出産後の女性の雇用不安に対処するべきでしょう」

フリーの人口統計学者であるフー・ヤフ氏はまた、「2016年から2021年の間に、出産可能年齢の女性が毎年500万人ずつ減少している」こと、つまり高齢化の影響も指摘している。

上海社会科学アカデミーが昨年更新してAFPと共有した研究によると、中国の人口は毎年、平均1.1%ずつ減少する可能性がある。

同アカデミーの人口統計学者チームによる最も悲観的な予測では、2100年には中国の人口はたったの5億8700万人となり、現在の半分に満たないかもしれない。

そして国連によれば、今年、インドが中国を抜いて世界で最も人口の多い国になることが分かっている。

「人口の減少と高齢化は、中国にとって大きなな懸念事項になるでしょう」とペン氏は語った。

「現在から2100年まで、それが中国経済に深刻な影響を与えることになるはずです」

AFP

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