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原爆をめぐる騒動を経て大ヒットハリウッド映画『バービー』が日本公開

「バーベンハイマー」騒動を経て、映画『バービー』が11日に日本で劇場公開された。(Xアカウント @USAmbJapan )
「バーベンハイマー」騒動を経て、映画『バービー』が11日に日本で劇場公開された。(Xアカウント @USAmbJapan )
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11 Aug 2023 10:08:21 GMT9
11 Aug 2023 10:08:21 GMT9

東京:大ヒットハリウッド映画『バービー』が11日、日本で劇場公開された。人形をテーマにしたこの映画をめぐっては、原爆と結びつけた「バーベンハイマー」ミームが日本で物議を醸し、公開前に配給会社のワーナー・ブラザースが謝罪したという経緯がある。

それにもかかわらず、マーゴット・ロビーがタイトルロールで主演を務めた『バービー』の日本でのチケット売れ行きは良好で、日本の夏連休初日の祝日に合わせた劇場公開にはファンが殺到した。

東京の映画館でこの映画を見たネイルサロンスタッフのスズキ・ミサキさん(29)は、「バービーのピンクの世界がものすごく綺麗でした」と話す。

『バービー』は7月21日の公開後、世界興行収入が10億ドルを突破した。監督・脚本を担当したグレタ・ガーウィグ氏は、単独で監督した作品の興行収入が10億ドルを突破した初の女性フィルムメイカーとなった。

このファンタジーコメディー映画の成功をさらに後押ししたのが、映画『オッペンハイマー』とのカップリングだ。同じ週末に公開された同作は、第二次世界大戦中の原爆開発を描いた伝記映画である。

しかし、この「バーベンハイマー」コンボは日本で反発を招いた。日本は折しも今月、78年前の米国による広島と長崎への原爆投下の記念日を迎えようという時だった。

ソーシャルメディアでシェアされたいくつかのミームは2つの映画の画像を組み合わせたもので、そのうちの一つではオッペンハイマーの肩に乗ったバービーが原爆を思わせる爆発を背景にはしゃいでいる。これらのミーム画像は、戦時中に核兵器で攻撃された唯一の国である日本のネット上で怒りを買った。

署名サイト「Change.org」が、「 #Barbenheimer 」ハッシュタグの使用停止をワーナー・ブラザースとユニバーサル・ピクチャーズ(『オッペンハイマー』の製作・配給会社)に求める署名を呼びかけたところ、10日までに1万6000人分以上が集まった。このハッシュタグは映画の世界的大ヒットに貢献している。

当時、「 #NoBarbenheimer 」ハッシュタグが日本でトレンド入りしたのをきっかけに、ワーナー・ブラザース・ジャパンは米国の本社を公に批判する異例の声明を出した。先週の米本社による謝罪はそれを受けたものだった。

ある日本のソーシャルメディアユーザーは、ハッシュタグ #NoBarbenheimer を使って怒りの投稿をした。「あのキノコ雲ができた時、何人が犠牲になったか知っているんだろうか。(…)原爆で遊ぶな」

別のユーザーはこう書いた。「ただ、(米国の人々には)2発の原爆がどのような惨状を引き起こしたのか知ってから発言してほしいだけ。日本のためではなく世界のために」

映画『バービー』のX(旧ツイッター)公式アカウントは、前述のようなミーム画像の一つに対し、「忘れられない夏になりそう」と投げキッスの絵文字付きでリプライした。

このメッセージ(現在は削除済み)を受け、映画『バービー』を日本で配給するワーナー・ブラザース・ジャパンは謝罪した。

同社は声明の中で、「この配慮に欠けた一連の反応について、不快な思いをされた方々には、お詫び申し上げます」と述べた。

また、米本社の公式アカウントの反応は「極めて遺憾なもの」だとしたうえで、本社に「然るべき対応」を求めているとした。

日本語吹き替え版でバービーの声を担当した高畑充希は2日、インスタグラムへの投稿で、ミームの件ついて知って動揺し、8月11日の公開に向けた東京でのプロモーションイベントへの登壇を辞退することも考えたと明かした。

彼女は投稿の中で、「今回の件は本当に本当に残念です」と述べた。

同日、メディア通のラーム・エマニュエル駐日米大使は、東京でグレタ・ガーウィグ監督と面会した際の写真を投稿したが、ネット上の反応は冷ややかなものだった。

同大使の投稿に対し、tsuredzureというX(旧ツイッター)ユーザーは、「このタイミングでのあなたの投稿は多くの日本人の神経を逆なでし、この映画を絶対に見に行かないという彼らの決意をさらに強めるでしょう」とリプライした。

駐日米大使館の報道官によると、エマニュエル大使は妻、娘とその友人たちを連れて『バービー』を見に行き、女性のエンパワーメントに関する映画のメッセージを受け入れているという。

以上のような経緯はあるものの、マテル社の有名な人形を現実世界に送り出すこの映画の日本のファンたちは、今回の騒動を受けて劇場に足を運ぶのをやめようとは思わなかったと話す。

大学生のタケダ・リエさん(24)は、ファンが作成した #Barbenheimer ミームは「不快だった」と言う。

「でも映画は輝いていたし、それ以上に楽しめました」

『オッペンハイマー』の公開日は未定だ。

AFP/ロイター 

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