
リヤド:若いサウジアラビアの人々が、元祖パックマンからPlayStation 5まで、テレビゲームの歴史をたどる展示を訪れている。このプロジェクトの目的は、来訪者自身も大ヒットタイトルを手がけたいと感じられるよう、インスピレーションを与えることだ。
過去半世紀のゲーム機やゲームセンターマシンが展示される舞台となっているのは、首都リヤドで開催されているGamers8という8週間にわたるeスポーツトーナメントの大会会場だ。この大会の賞金総額は4,500万ドルに達している。
昨年、ムハンマド・ビン・サルマン・ビン・アブドル アジーズ・アール・サウード皇太子殿下は、公的投資基金(PIF)傘下にあるサウジアラビアのSavvy Games Groupに対する380億ドルの投資戦略を発表していた。
ゲームとeスポーツをめぐるこの国家戦略は勢いづいており、国内でのゲーム制作がますます重視されるようになっている。その公式文書では、サウジアラビア王国を「ゲーム開発者の楽園」に変貌させ、「サウジアラビアとアラブの文化を広める」ことにつながるような新しいタイトルを制作することが目標に掲げられている。
今回、ゲームの歴史をたどる展示、そしてそれに隣接して「ゲームラボ」が開催されているのも、そうした戦略の一環だ。Gamers8の期間中、その大半がサウジアラビア人である約3,000人が、コーディングやアニメーションなどのスキルを学ぼうと、会場に殺到している。
開発者のムハンマド・アル・ファキ氏は、今週のある夜、ラボでスキルを磨きながら、「以前はアラブ人はゲームを買うだけで、ゲームを開発しなかった」と語った。
「今は、地域の習慣や伝統に従って、ゲームを開発し、自分自身でアイデアを構想し、それを形にする機会がある」
サウジアラビアは、非移民の人口の3分の2近くが30歳未満だ。そのため、テレビゲーム市場のターゲット年齢層である若者が多いことになる。
しかし、ゲームでサウジアラビアの文化を紹介しながらも、そのゲームを世界的に大ヒットさせるにはどうすればいいかという点は、サウジアラビアeスポーツ連盟のeスポーツ最高責任者を務めるファイサル・ビン・ホムラン氏も含めて、まだ誰も解決できていない難問だ。
ビン・ホムラン氏によると、サウジアラビア人や外国人の開発者25,000人が、現在この課題に取り組んでいるとのことだ。
「国外から専門知識を呼び込み、ノウハウを取り入れていくことで、国際的に成功するゲームがいくつか登場することを期待している」と、ビン・ホムラン氏は述べた。
ホムラン氏は、インスピレーションの源泉の1つとして、すでに世界的にヒットしているフランチャイズに登場しているサウジアラビア人のキャラクターを挙げている。例えば、戦闘ゲーム『鉄拳』のシャヒーンや、『ストリートファイター』のラシードなどだ。ラシードは、中東の国出身とのことで、どの国かは明言されていないが、アラブ首長国連邦またはサウジアラビア出身の可能性がある。
しかし、ホムラン氏などの当局者が掲げている目標は、さらに大きい。この国家戦略を通して、2030年までに、国内のスタジオで30本の国際競争力のあるゲームを製作することを目指しているのだ。
仕上げは甘いものであっても、サウジアラビア発のゲームの中には、すでにサウジアラビア人のファンの間で人気が高まっているものもある。そんなファンの1人が、夏休みの機会にGamers8のラボでコーディングを学んだ、『ロケットリーグ』が大好きだという14歳のハレド・アルガイス氏だ。
アルガイス氏は、『ハシェム』というゲームに特に思い入れがある。ハシェムとは、アラビア語のサウジアラビア方言で「鼻」という意味で、記憶を失ったキャラクターが嗅覚を活用して記憶を取り戻すために一連のチャレンジに挑んでいくという内容だ。
「サウジアラビア人が作ったゲームはどれも、普段からプレイしていて、本当に楽しい」と、アルガイス氏は語った。
「『ワオ、これをサウジアラビア人が作ったのか』と興奮して、とても誇りに思っている」
AFP