



Najia Houssari
ベイルート:3月2日(月)、日本の義家弘介法務副大臣は、昨年東京での自宅監禁下からベイルートへ逃亡を図った日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の事件に関して、レバノンの協力を望んでいると述べた。
ゴーン被告は日本で初公判への待機中だった。日産会長として何百万ドルという給与の過小申告など複数の容疑に直面していたが、12月末に密かに脱出を図ったのだった。彼はすべての容疑を否認している。
この65歳のビジネスマンはブラジル、フランス、そしてレバノンの国籍を持っている。日本とレバノンは犯罪人引き渡し条約を結んでいない。日本はインターポルを通してゴーン被告の返還を要請し、彼の逃亡後に逮捕状を発行している。
「レバノンの司法制度は独立した最高権限を有しており、レバノン国民及びレバノン領土内にいる者のみがその司法管轄下にある」とミシェル・アウン大統領が義家副大臣との会談で述 べた。
その会談にはレバノンのマリークロード・ナジェム司法大臣と日本の大久保武駐レバノン大使も同席した。
「レバノンと日本は司法協定を結んでおらず、犯罪者引き渡し条約も調印されていない」とアウン大統領は義家副大臣に言った。
「ゴーン氏はベイルートのラフィク・ハリリ国際空港経由でフランスのパスポートとレバノンの身分証明カードにより合法的にレバノンへ入国した。日本出国とベイルートへの移動の状況についてはまだ不明であり、ゴーン氏はベイルートにおける記者会見でもそのことについて明らかにしなかった。」
ラフィク・シャララ大統領府報道官がアラブニュースに語ったところによると、義家副大臣はゴーン被告の引き渡しは要求しなかったものの、この事件に関する日本側の考え方を説明し、日本がレバノンとの関係を今後も発展させたいと望んでいる旨を繰り返し強調した。
「レバノンは日本と最高の関係を築くことを切望しており、国際的なフォーラムや委員会でも日本人の登用を積極的に支援している」とアウン大統領はその会談で述べている。さらにアウン大統領は、レバノンからゴーン被告の事件に関して日本へ書簡を送ったが、今のところ公式な返事を受け取っていないとも述べた。
アウン大統領は、レバノンの国際機関に対する義援金について日本に感謝の意を表し、このことについてはベイルートにある日本大使館からの書簡の中でレバノン側へ通達されていると述べた。
先週日本の森まさこ法務大臣が語ったところによると、日本政府は上級司法官を派遣してゴーン被告の逃亡に関する情報収集へのレバノン側の協力を要請する意向だという。
森大臣は、「レバノンに日本の司法制度について正しく理解してもらうことが肝要だ」とも述べている。
ゴーン被告は日本の司法制度を批判し、今年の年明けの記者会見では、自分自身と家族を守るためには他に手段がなかく、「不公正と政治的迫害」から逃れたのだと語っている。
「日本の司法制度は報復という意図に根ざすべきではない」とも彼は語った。
アラブニュースが入手した情報によると、ゴーン被告はベイルートの彼の自宅から警備員を外してほしいと要請したが、レバノンの司法当局はそれを認めなかったという。理由はその土地建物は日産所有のもので、非公開のためとのこと。