
ワシントン:日本の海上沖で起きたV-22オスプレイの墜落事故で米空軍特殊作戦軍兵士8人が死亡してから1週間経った6日遅く、米軍は、オスプレイ全機の飛行を停止すると発表した。
米国の空軍、海軍、海兵隊は、先週起きた墜落事故に関する予備調査により、乗組員の操作ミスではなく、機体に生じた不具合による重大な欠陥が死亡事故につながったという結果が示されたため、数百機のオスプレイ全機を飛行停止にするという異例の措置をとった。
今回の墜落事故により、運用開始から比較的短期間で幾度となく死亡事故が起きているオスプレイの安全性について、新たな疑問が浮上した。日本は今回の墜落事故後、オスプレイ14機を飛行停止にした。米空軍特殊作戦司令部は声明を発表し、同司令部のトニー・バウエルンファイント中将が「調査が続く間リスクを回避するため」に飛行の一時停止を指示した。
「予備調査により、重大な欠陥が事故の原因となった可能性が示されたが、現時点では欠陥の根本原因は不明である」
米海軍航空システム司令部も、オスプレイ全機の飛行停止を発表した。同司令部は海兵隊と海軍の別型機を運用している。
米空軍によると、飛行停止期間がどれくらいになるかは不明。調査によって日本での墜落の原因が特定され、飛行再開を許可する勧告が出るまで、飛行停止の継続が予想されるという。
米国製のオスプレイは、ヘリコプターのように離着陸するが、飛行中はプロペラを前方に傾けて回転させ、ヘリコプターよりもはるかに高速に飛行機のように巡航できるハイブリッド機だ。
その特有の構造が、幾度となく起こる事故の原因となっている。先週の墜落事故の調査は始まったばかりだが、墜落した機体の安全記録、特に10年以上にわたり不具合を起こしてきたクラッチのメカニカルな問題に改めて注目が集まった。また、オスプレイの全部品が安全仕様に従って製造されているかどうかについても疑問が残る。
海兵隊は8月、2022年のオスプレイの墜落死亡事故はクラッチの不具合が原因と公表したが、根本的な原因は不明だった。海兵隊はこの墜落事故に関する報告書の中で、飛行制御システムのソフトウェアとドライブトレイン部品の材質強度の改善、厳格な検査要件がなければ、将来の事故を「防ぐことは不可能」であると警告していた。
米国の空軍特殊作戦司令部はオスプレイを51機、海軍は27機、海兵隊は400機も保有している。
オスプレイは米軍の保有機の中では比較的歴史の浅い機体で、最初のオスプレイが運用開始になったのは、数十年にわたる試作を経て2007年になってからだ。オスプレイの試験飛行または訓練飛行で50人以上の兵士が死亡。その内、直近20カ月で4件の墜落事故が起き、20人が死亡している。
8月にオーストラリアで起きたオスプレイの事故で海兵隊員3人が死亡した。この事故もまだ調査が続いている。
AP