
東京電力福島第1原発事故から9年を迎えるのを前に、東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表がインタビューに応じた。昨年相次いだ作業ミスに対しては「(実際の)現場や現物を把握するプロセスを根付かせたい」と言及。
廃炉作業の最終的な将来像は「議論が必要」と明言しなかったが、廃炉関連の技術が今後発達し、「メイドイン福島の技術、人材が日本や世界で活躍できれば理想的」との考えを示した。主なやりとりは次の通り。
―この1年間の廃炉作業の状況をどう見るか。
3号機からの燃料取り出しや1、2号機の排気筒解体作業が始まり、苦労もあったが最近は順調だ。(放射性物質トリチウムを含む)処理水を全て溶接型タンクに移せたことで、管理がかなり強固にもなった。
―ミスやトラブルが続く局面もあった。
(取引企業任せでなく)われわれが現場などを把握する必要がある。4月の組織変更に加え、現場を把握するプロセスをしっかり根付かせたい。
―処理水の処分方法について、政府の小委員会が報告書をまとめた。受け止めは。
小委員会では、技術論だけでなく風評被害なども含めて議論された。東電も安全性を訴える情報公開をしており、場合によっては拡大する必要があると思う。
―国の判断待ちで、東電としての当事者意識が見えにくいが。
この問題は当事者としての意見を言うこと自体、別の議論を呼んでしまう。一事業者だけで意見を言うのは時期尚早と思っている。
―今年中に放射能汚染水発生量を1日約150トンに減らすことを掲げている。
汚染水を減らすため、雨水が入らないよう建屋の屋根の穴をふさぐなど一生懸命やっており、目標は十分達成できる。
―廃炉の最終的な姿をどう考えているか。
現段階で「廃炉とは何か」を決めるのは難しい。議論して方向性を出すべきだ。ただ廃炉関連技術の活性化で、雇用や新技術が生まれるだろう。「メイドイン福島」、「メイドイン浜通り」というか、そういう技術や人材が日本や世界で活躍するという姿が理想的かな、とは思っている。
JIJI Press