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サダム時代の記録文書、イラクに返還 議論の口火を切り、古傷を開く

Iraq Memory Foundationが2020年9月10日に提供したこの資料写真では、日付は不明だが、イラクの首都バグダッドにあるバース党本部の一つで発見された資料が、Iraq Memory Foundationによって収集された後、山積みになっている。(AFP)
Iraq Memory Foundationが2020年9月10日に提供したこの資料写真では、日付は不明だが、イラクの首都バグダッドにあるバース党本部の一つで発見された資料が、Iraq Memory Foundationによって収集された後、山積みになっている。(AFP)
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12 Sep 2020 07:09:24 GMT9
12 Sep 2020 07:09:24 GMT9
  • 米国主導の侵攻の後、バグダッドで宗派間闘争が増加していたため、マキヤ氏は占領軍当局と合意し、大量の記録文書を米国に移管したが、この措置は依然として議論の的となっている。

バグダッド:イラクに秘密裏に返還された、サダム時代の資料を集めたものがイラクの悲痛な過去を公開させた。新たな流血の恐怖とともに、長年行方不明になっている親族の運命を知るかもしれないという期待が高まっている。

500万ページにも及ぶバース党の内部文書が2003年に発見された。サダムを倒した米国主導の侵攻からわずか数カ月後のことで、場所は、騒然としたバグダッドにあった、部分的に浸水した党本部だった。

Iraq Memory Foundationが提供したこの資料写真には、日付は不明だが、バグダッドにあるバース党本部の一つで見つかった文書の上に座っている男性が写っている。(AFP)

 2人の男性が、混乱した米軍に呼ばれてアラビア語の資料を解読した。1人は長年反体制アーキビストだったカナン・マキヤ氏で、もう1人は作家で活動家のムスタファ・カディミ氏で、現在はイラクの首相だ。

「電気が止まっていたので、懐中電灯を持って、水浸しの地下室に入りました」とマキヤ氏はAFPに対し、米国から電話で語った。

「ムスタファ氏と私はこれらの文書に目を通し、何か大変なものを偶然見つけたことに気が付きました」

バース党員の資料と、行政業務に関して党と省庁の間で交わされた手紙があり、サダムを批判したことで隣人を非難する、イラクの一般人からの報告書もあった。

他の書類からは、1980~88年のイランとの戦争中に捕虜になったイラク兵の親族が裏切り者だった可能性があるという疑惑が浮上した。

米国主導の侵攻の後、バグダッドで宗派間闘争が増加していたため、マキヤ氏は占領軍当局と合意し、大量の記録文書を米国に移管したが、この措置は依然として議論の的となっている。

文書はデジタル化され、スタンフォード大学の保守的な傾向のあるシンクタンク、フーバー研究所に保管され、閲覧は施設内の研究者に制限された。

だが、8月31日、48トンに及ぶ文書の全てがひそかにバグダッドに戻され、公表されていない場所に直ちにしまい込まれた、とイラク政府高官はAFP通信に語った。

その高官によると、どちらの政府も移管を発表しておらず、イラク政府は記録文書を一般に公開する予定はない。

これにより、アーカイブの内容に個人的な利害関係を持つかもしれない何千もの家族が失望する可能性がある。

「サダムはイラクの人々を殺しました。そんなことがあったのに、黙っていられません」とAyyoub Al-Zaidyさん(31)は述べた。Ayyoubさんの父Sabarさんは、1991年のイラクのクウェート侵攻で徴兵された後、行方不明になった。

家族は、彼が死亡したことや捕虜にされたことを知らされることは一度もなく、バース党の記録文書で手掛かりが見つかることを願っている。

「これらの文書は、彼がまだ生きているかどうか知るための糸口かもしれません」とAyyoubさんの母Hasinaさん(51)は語った。

彼女は1990年代、夫の所在に関する情報を求め、バース党が多数を占めた政権に嘆願していたが、今はそれ以上の透明性はほとんど期待できない。「この調子では、公開される前に死んでしまいます」

イラクが、血で汚れた歴史が繰り返されるのを防ぐのに記録文書は役立つかもしれないと主張する人もいる。

「最近の子供の多くは「サダムは良かった」と言います」と、イラク人映画制作者のMurtadha Faisal氏はAFP通信に語った。

Faisal氏は、父親が1991年の暴動中、聖地ナジャフで逮捕されたとき、12歳だった。それ以来、連絡はない。

彼は、明るい郷愁やバース党の支配に対する修正主義を終わらせるために、記録文書を公開してほしいと思っている。それらは、崩壊した政治階級の下の今日の不安定さと比較され、一部の者に賞賛されいる。

「人々は、新たな独裁者を作らない方法を知るべきです」と同氏は述べた。「それは既に起きています。現在、小さな独裁者が多くいます」

バース党の遺産をめぐる分裂はいまだに深く、バース党の擁護者の中には、このアーカイブはサダム・フセインの統治の潔白を証明するのに役立つだろうと主張する者もいる。

「記録文書を公開すれば、バース党が愛国的だったことが証明されるでしょう」。元下級党員の一人はAFP通信へのコメントでこう主張した。

アトランティック・カウンシルのイラク・イニシアティブ・ディレクターAbbas Kadhim氏によると、これらの分裂こそが、記録文書の返還を「向こう見ずな」措置にしているという。

「イラクは準備ができていません。この記録文書が役割を果たすことを可能にする和解プロセスを開始していません」とKadhim氏は述べた。同氏は、イラクの歴史と社会に関する学術書を数冊執筆するために文書を熟読した。

同氏が発見したことは、現職の役人にも関係していた、と同氏は述べた。

「バース党員らは、ジョークから処刑まで、あらゆるものを文書に記録しました。政治家や部族長や街の人々が互いにそれを使い始めるでしょう」と同氏は付け加えた。

また、より扇動的でなくするために資料を編集することもできるが、それでも地元の学者が閲覧できるようになると言う人もいる。

「私たちにできる最低限のことは、米国の研究者と同じように、イラクの研究者が

閲覧できるようにすることです」。そう語ったのは、米国に本拠を置くブルッキングズ研究所の新任研究員で、博士号取得のためにアーカイブを利用したMarsin Alshamary氏だ。

別のイラク当局者はAFP通信に対し、米国は、2003年の侵攻後に押収した「さらに危険な政府資料」を含むいくつかの文書をまだ保有していると語った。

いつの日か、これらの文書で再び語られた、血で汚れた全ての出来事が、イラクの遠い過去の一部になることを、マキヤ氏は願っている。

「私たちは、『二つの川の間の土地』とアッバース朝の帝国の栄光は覚えていませんし、現代のイラクが乗り越えた35年間の、現実に起きた恐怖は忘れられません」と同氏はAFP通信に語った。

「それは、それらのロマンチックなことと同じくらい、今日のイラク人をイラク人たらしめるものの一部です」

AFP

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