
ワシントン:支持率低迷に苦しむ岸田内閣で、昨年9月に就任した上川陽子外相の評価が徐々に高まっている。精力的な外国訪問を通じて存在感をアピール。「ポスト岸田」候補の一人に浮上した。与党内では、初の女性首相への期待も出始めている。
上川氏は12日(日本時間13日)、米ワシントンでブリンケン国務長官と会談。会談後、上川氏は記者団に対し「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するため、日米が連携することで一致した」と説明した。
これに先立ち、ロシアとの戦闘が続くウクライナを訪問。クレバ外相との会談は空襲警報下で行われたが、上川氏は「慌てる様子もなく、毅然(きぜん)としていた」(外務省幹部)という。
昨年12月の時事通信の世論調査で、首相にふさわしい自民党の国会議員を尋ねたところ、上川氏は3.1%で6位に入った。石破茂元幹事長ら「常連組」にこそ及ばなかったが、現職の岸田文雄首相の1.6%を上回った。
上川氏は衆院当選7回で、岸田派所属の70歳。法相を3回務めるなど実務能力の高さに定評はあったが、外相に就任するまで首相候補と目されることはなかった。
自民党派閥の政治資金規正法違反事件で、世論の「政治とカネ」の問題に対する視線は厳しい。公明党関係者は「上川氏なら清廉潔白な感じがある。女性首相は選挙の顔にもなる」と期待。自民党閣僚経験者も「派手さはないが、能力は高い」と評価する。
ただ、上川氏は記者会見や国会審議で、官僚の用意した答弁を読み上げることが多い。当意即妙なやりとりは苦手とされ、情報発信が課題となりそうだ。自民党関係者は「上川氏がどういう主張なのか全く知らない。首相を目指すなら幅広い政策発信が必要だ」と注文を付けた。
時事通信