ワシントン:米ホワイトハウスは25日、岸田文雄首相が4月10日に国賓待遇で訪米すると発表した。ジャンピエール大統領報道官は声明で、「不朽の日米同盟の強さと、日本に対する米国の揺るぎない責務、国際場裏で増す日本の指導的役割を強調する訪問となる」と述べた。
日本の首相の国賓待遇での訪米は、2015年の故安倍晋三元首相以来9年ぶり。首脳会談では、覇権主義的な動きを強める中国や対台湾関係、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援継続などが主要な議題になるとみられる。バイデン大統領は両首脳夫人を交えた公式夕食会を開き、親密さを演出する。
日本政府も26日、首相が4月10日にワシントンでバイデン氏と会談すると発表。林芳正官房長官は記者会見で「日米の緊密な連携を一層深め、強固な日米同盟を世界に示す上で大変有意義だ」と語った。
バイデン政権にとって、米国の相対的な国力が低下する中、インド太平洋地域で同盟網の核となる日米同盟の強化は、中国に対抗する上で最優先事項となっている。国賓待遇の招待は、国家元首ではない首相に対しては最大級の厚遇で、日米関係の強固さを改めて世界に誇示する狙いがある。
国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は25日の記者会見で、首脳会談の議題には「日米韓3カ国の協力強化も含まれる」との見通しを示した。多国間協力に消極的なトランプ前大統領が11月の大統領選で返り咲く可能性も捨てきれない中、バイデン氏は首脳や閣僚の会談定例化を含む3カ国関係の「制度化」を進めておきたい考えだ。
一方、ウクライナを巡っては、議会共和党の反対で米側の支援継続に暗雲が立ち込める。バイデン氏としては、先進7カ国(G7)で唯一のアジアの参加国である日本からも支援継続表明を取り付け、説得材料の一つとしたい思惑がある。
首相は滞在中、議会での演説も調整している。
時事通信