
政府は10日午前の閣議で、新型インフルエンザ対策特別措置法改正案を決定した。国内で感染が広がる新型コロナウイルスを対象に追加し、甚大な被害が予想される場合の「緊急事態宣言」を可能とする。同日中に国会に提出。野党との調整を経て13日に成立する見通しだ。
担当閣僚に指名された西村康稔経済再生担当相は閣議後記者会見で、緊急事態条項について「万が一に備えるもので、そういう事態にならないことを望んでいる。『伝家の宝刀』であり続けてほしい」と語った。
民主党政権時の2012年に成立した現行法は、新型インフルエンザと、過去に大流行した「再興型インフルエンザ」、未知の「新感染症」を対象としている。改正案は施行後2年以内に限定した特例措置として、これに新型コロナウイルスを加える。
新型コロナウイルスが全国へ急速に拡大し、国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあると判断した場合、首相が期間と区域を指定した上で緊急事態を宣言。都道府県知事による外出自粛要請、学校や映画館など人が集まる施設の使用制限、土地・建物の強制収用などが可能になる。期間は2年までで、1年延長できる。
立憲民主党など野党共同会派は、緊急事態宣言の実施で私権が制限されることを懸念。「歯止め」として国会の事前承認を条件とすることなどを求めている。ただ、与党は条文修正には応じず、野党の主張を盛り込んだ付帯決議にとどめたい考えだ。
衆院内閣委員会の与野党理事らが10日午前、改正案の扱いを協議したが、修正か付帯決議かをめぐって折り合わず、結論を午後に持ち越した。
JIJI Press