東京：国土交通省は30日、トヨタグループの豊田自動織機の工場に立ち入り検査を行った。同社はすでにエンジン認証試験における不正を認めている。一方、トヨタ自動車は2023年に1,100万台以上の自動車を販売し、世界トップの自動車メーカーの地位を維持していると発表した。

愛知県碧南市にある豊田自動織機の工場で調査が始まった数時間後、トヨタ自動車の豊田章男会長は、同社をスキャンダルから脱却させ、トヨタグループが「いいクルマをつくること」に専念するよう再出発することを誓った。

「私の仕事は、グループが進むべき方向を示すこと」だと豊田会長は語った。

彼は深く頭を下げて謝罪し、グループのビジョンは豊田家の創業理念に根ざしており、「人々の幸せにつながるいいクルマをつくる」ために、「現場」、つまり工場で働く人々に力を与えることだと強調した。

今回の不正問題は、セダン「カムリ」、ハイブリッド車「プリウス」、高級車ブランド「レクサス」を製造するトヨタにとって業績が好調な時に起きた。2023年のグループ世界販売台数は、前年比7％増の1,122万台で、ドイツのフォルクスワーゲンAGの世界販売台数920万台を上回り、過去最高を記録した。

豊田会長は、創業者を記念して設立された名古屋のトヨタ産業技術記念館からライブ配信された記者会見で語った。豊田佐吉氏が自動織機を発明し、彼の息子、そして豊田喜一郎氏がトヨタ自動車を創業した。

豊田氏の後を継いだ佐藤幸治CEOは、ディーゼルエンジンを製造する豊田自動織機での不正試験という、最新の混乱について謝罪した。

4月には、トヨタが100％出資する小型車メーカーのダイハツ工業が、数十年にわたり試験で不正を行っていたことを内部告発者が暴露した。2022年には、同じくトヨタグループのトラックメーカーである日野自動車が、2003年から行われていた排ガスデータの組織的な偽造を認めた。

これらの不正に関連した大きな事故は報告されていない。しかし、今回の不正の対象となった10車種を含む、一部の車種の生産は停止されている。

日本経済新聞は、豊田自動織機での違反疑惑に関して、過度に野心的なエンジン開発計画について、従業員による疑問の声に、経営陣が耳を貸さなかったことが原因だと報じた。

佐藤氏は、トヨタグループ各社はルール遵守の重要性について、より良いコミュニケーションと教育が必要だと認めた。

今回の問題は、日本、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジアで販売されているランドクルーザーとハイラックスを含むSUVモデルに影響を及ぼしているが、北米販売車種には影響はない。

今回の不正と関連性のない品質問題として、トヨタとゼネラルモーターズは、主に米国で販売されている約61,000台の旧型カローラ、マトリックス、RAV4、ポンティアック・ヴァイブの所有者に対し、タカタ製エアバッグのガス発生剤（インフレーター）が爆発して破片が飛び散る危険性があるため、運転を中止するよう呼びかけた。

29日の緊急警告の対象となった車種は次の通り。2003年および2004年モデルのコンパクトカー「カローラ」とハッチバック「マトリックス」、2004年および2005年モデルの小型SUV「RAV4」。また、2003年と2004年モデルのポンティアック・ヴァイブ約11,000台も対象であり、これらは基本的にマトリックスと同じカリフォルニア工場で製造されたものである。

コーポレート・ガバナンスを専門とする慶應義塾大学准教授の内田大輔氏は、自動車メーカーの不手際はしばしばコスト削減の圧力と関係していると指摘する。

「経営陣と、現場で働く人々とのコミュニケーションの中で、何かが失われている可能性がある」と内田氏は言う。

アナリストたちは、同グループ企業の売上高と利益はトヨタの世界全体の収益に占める割合が小さいため、同社の不正問題がトヨタの収益に与える影響は限定的なものになりそうだという。

豊田会長は具体的な行動計画を提示していないが、彼の一族が創業したビジネスの謙虚な原点、そして、発明を信じることの重要性について語った。

トヨタは過去に激動の時代を乗り越えてきたと彼は語った。

「私たちは、すべての原点を決して見失ってはならない」

AP