
厚生労働省は22日、介護分野で働く外国人材について、条件付きで訪問介護サービスに従事することを認める案を有識者検討会に示した。所属する事業所に必要な研修の実施などを求める。外国人材が就労できる業務の範囲を広げ、担い手不足の緩和につなげる狙いだ。
技能実習や特定技能の外国人材は介護施設で働くことが可能。しかし、自宅などに出向いて1対1で利用者を介助する訪問サービスは現在、日本語での意思疎通に不安があることなどから対象外となっている。
介護現場の中でも訪問介護サービスの担い手不足は特に深刻で、厚労省によると、2022年度の有効求人倍率は15.53倍。訪問介護員の高齢化も進んでいる。
そこで同省は、外国人材による訪問介護について、所属する事業所がコミュニケーション能力や日本の生活様式に関する研修を実施することなどを条件に認める案を提示。サービスの責任者が訪問先に一定期間同行することや、利用者からのハラスメント対応の手引を作成することなども条件とした。
複数人で提供する訪問入浴サービスは、事業所で必要な研修を実施すれば従事可能とする。外国人材を派遣する場合は利用者や家族への丁寧な説明を求め、外国人材の母国語によるハラスメント相談窓口を設置する。同省は今後の検討会で最終案を取りまとめ、早ければ24年度中にも解禁する。
◇外国人材の訪問介護を認める条件
一、コミュニケーション能力や日本の生活様式に関する研修を実施
一、サービスの責任者が一定期間同行
一、キャリアアップに向けた計画の作成
一、利用者からのハラスメントへの対応に関する手引の作成
一、情報通信技術(ICT)の活用など業務をサポートする環境の整備
時事通信