
アスンシオン: 岸田文雄首相は3日午後(日本時間4日午前)、パラグアイのペニャ大統領と首都アスンシオンの大統領府で会談した。同国は南米で唯一、台湾と正式な外交関係を持つ。両首脳は東アジア情勢について「力による一方的な現状変更の試みは許されない」との認識で一致。中国の覇権主義的な動きを踏まえ、国際秩序の維持・強化へ連携していくことを申し合わせた。
会談後の共同記者発表で、ペニャ大統領は「自由、法治国家などの価値観を共有する2カ国だ。今後も広範な協力関係を推進したい」と強調。首相も「国際社会が複合的な危機に直面する中、価値と原則を共有するパートナーの重要性が高まっている」と述べ、関係深化を呼び掛けた。
パラグアイは、ブラジルなどと構成する関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」の今年上半期の議長国。両首脳は日本とメルコスルの連携の重要性を確認し、関係緊密化を図っていくことで合意した。会談に合わせ、情報通信や宇宙分野の技術協力に関する官民の覚書も交わされた。
両首脳は軍縮・不拡散や国連安全保障理事会改革などの国際社会の課題についても意見交換し、両国の協力が重要との考えで一致した。
日本の首相によるパラグアイ訪問は、2018年の安倍晋三氏以来2人目。
時事通信