
ソウル: 韓国の文在寅前大統領は18日までに出版した回顧録で、北朝鮮のミサイル発射が相次ぐなどして朝鮮半島の緊張が高まった2017年に日本の安倍晋三首相(当時)が「不安をあおる態度を見せた」として、厳しく批判した。文氏は、緊張緩和を優先する韓国側の立場に「(安倍氏は)全く配慮しなかった」と主張した。
文氏によれば、安倍氏は朝鮮半島での日米韓合同訓練の実施を提案。また、韓国に滞在する日本人を退避させる訓練を行うべきだと述べた。
日韓関係について、文氏は大統領在任中、元慰安婦や元徴用工の歴史を巡る問題で対立しながらも、経済、社会、文化では「未来志向の協力を追求した」と強調。19年に日本政府が韓国への輸出規制を強化し「関係に害を与えた」として、関係悪化の責任は日本側にあると決め付けた。
文氏は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記から聞いたとする秘話も紹介した。18年6月にシンガポールで行われた初の米朝首脳会談に先立ち、トランプ大統領(同)が、正恩氏が乗る航空機を用意した上で米国で開催することを提案。正恩氏は「プライドが傷つく」として拒否し、北朝鮮が保有する飛行機で渡航可能な場所で会談するよう求めたという。だが、結局、正恩氏は中国国際航空機でシンガポール入りした。
時事通信