
東京:ホームレスを代表する団体が、来年の東京五輪の選手村を新型コロナウイルス感染拡大中の避難所として利用することを求めている。
東京五輪の主催者と都に宛てたオンライン請願書には、東京湾沿いに建つ巨大な集合住宅を占有する許可を求める数万人の署名が集まった。
選手村には、1万1000人のオリンピック選手と4400人のパラリンピック選手が住む予定だった。新型コロナウイルスの感染爆発により、五輪の開会が2021年7月23日まで延期され、建設はほぼ完了しているが空室の状態だ。
「この落ち込みがいつまで続くのか分からないので、私たちは考え方を変えなければなりません」と自立生活サポートセンター・もやいの代表、大西連氏はAP通信に語った。「それには、私たちの働き方、住宅の扱い方、それを必要とする人々への援助の仕方が含まれます」
東京五輪の主催者はコメントを拒否し、東京都もこの請願についてすぐにはコメントしなかった。主催者は、請願書がいつ提出されるかは不明だと述べた。
請願書の一部には「感染爆発が当面続くと、多くの人々が貧困に陥ったり、家を失ったりする可能性がある」と書かれている。
都内の路上生活者は約1000人。東京都の調査によると、その他に4000人が、およそ500店舗ある、インターネットへのアクセスと泊まるための小部屋を提供する、いわゆる「ネットカフェ」に滞在していると推定されている。
政府が、新型コロナウイルスの感染が広がる可能性のある店舗などに対し、自主的に閉鎖するよう要請した後、ネットカフェの多くは閉鎖された。
都は、ネットカフェに滞在できなくなった人のためにホテルの部屋を約500室用意し、ニーズが増えた時のために、より多くの部屋を用意していると都の職員、ハタナカカズオ氏は述べた。
専門家によると、ホームレスのコミュニティーでは社会的距離を保つことができず、感染拡大を悪化させる可能性がある。
「社会はより包括的に成長する必要があり、そうしなければ感染は広がるでしょう」と大西氏は言う。「私たちの社会は試されています。日本では、多くの人が、依然として貧しい人々のせいで自分たちが苦境に立たされていると思っています」
東京は整然とし、繁栄しているように見えるが、この都市には最下層階級のホームレスがいる。川沿いや高架下、公園の中などで見ることができる。ホームレスのコミュニティーが生まれ、多くが段ボール箱で生活している。
2017年の日本政府の資料によると、国民の16%近くが年間所得120万円(1万1000ドル)以下で、貧困ラインを下回っている。一人親家庭の貧困率は51%と高い。
拡大した家族支援ネットワークの崩壊と雇用不安により、日本の多くの人々は景気後退の影響を受けやすくなっており、ホームレスへとつながっている。日本の協調を重んじる文化も、多くの人に助けを求めることを恥だと思わせている。
選手村は、大手デベロッパーと東京都が参加する共同の不動産事業だ。100万ドル以上する高級マンションを含め、最終的には24棟になる予定だ。一部は五輪閉幕後の入居を予定して販売されている。
ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本では9000人以上が新型コロナウイルスに感染し、約200人が死亡している。東京ではここ数週間で毎日100人以上の感染が報告されており、病院のベッドが足りなくなるのではないかと心配されている。
新型コロナウイルスに感染すると、ほとんどの人に発熱やせき、軽度の肺炎などの軽度から中等度の症状がみられる。しかし、深刻な症状がない人たちは、意図せずに病気を広げることで、問題を大きくさせている。世界全体の感染者数は200万人以上に急増している。
日本は「非常事態」宣言を出し、当初は東京と他の6つの都市部を中心としていた。今週、それは全国に拡大された。
東京都の小池百合子知事は、隔離されている患者や病院での集中治療を必要としない患者を収容するために選手村を利用することに言及した。しかし、都はその用途のためにホテルの部屋や五輪期間中のセキュリティーのために建てられたプレハブ住宅などを確保している。
AP