
新型コロナウイルス感染拡大の影響でマスクの品薄が続く中、政府が高額販売などで「不当な利益」を得る事業者への対策を強化する方針を固めたことが25日、明らかになった。価格をつり上げたり、売り惜しみしたりする業者に立ち入り検査や強制収用などの措置を講じ、生活必需品となったマスクの国内流通を促す。
政府は16日、新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象を全国に拡大した。今回は宣言下で発動可能な特措法の条項をマスクに適用する。宣言が適用される全ての都道府県が対象となる。
新たな対策では、物流・小売業者がマスクの値上がりを見込んだ買い占めや売り惜しみをしていないか調査。「不当」と判断した場合、特措法55条に基づき、都道府県は売り渡し要請や収用措置が可能となる。厚生労働省や経済産業省による情報収集を強化し、在庫や仕入れ価格の確認を目的に立ち入り検査も実施する。
政府はマスク不足を受け、シャープやトヨタ自動車など異業種にも生産を要請した。しかし、店頭での品薄は続いており、強硬措置で物流段階の「囲い込み」をけん制したい考えとみられる。
個人に対しては3月に、インターネットなどでのマスクの高額転売を禁じる国民生活安定緊急措置法に基づく規制を導入している。
新型コロナによる重症患者や死者の増加により、マスクへの関心は一層高まった。政府関係者は「マスクの安定供給が重要な政策課題だ」と指摘しているが、強硬措置発動に当たっては「不当な利益」や「適正価格」の明確化が求められそうだ。
JIJI Press