
今年初の国政選挙となった衆院静岡4区補欠選挙は26日、投開票された。自民党新人の深沢陽一氏(43)が、立憲民主など野党4党が推薦した無所属新人の田中健氏(42)との事実上の一騎打ちを制し、初当選した。新型コロナウイルスへの対策をめぐり政権への批判も出る中、安倍晋三首相にとっては敗北すれば打撃となっただけに、政権運営への影響をひとまず回避した形だ。
投票率は34.10%で、2017年の衆院選を19.62ポイント下回り、現在の区割りとなってから同選挙区として過去最低となった。政府が緊急事態宣言を出し、外出自粛が広がったことが影響したとみられる。
補選は自民党の望月義夫元環境相の死去に伴うもので、同党は公明党の推薦を得て、議席を守った。自民の衆参補選勝利は16年10月以来。与党は20年度補正予算案を30日に成立させた上で、追加経済対策の検討を進める方針で、新型コロナ対策に万全を期す。自民党の二階俊博幹事長は党本部で記者団に「補正の国会審議も、しっかり結果を残すように頑張りたい」と述べた。
主要野党は共産党が候補者を取り下げ、立憲、国民民主、共産、社民各党が一本化。次期衆院選を見据えて共闘の「試金石」と位置付けたが、事実上の与野党直接対決を落としたことで、痛手となった。立憲の長妻昭選対委員長は「次の選挙への糧とし、政権交代を目指す取り組み強化に努める」との談話を出した。
選挙戦は、新型コロナの影響で与野党幹部が現地入りを見送り、電話やインターネット交流サイト(SNS)中心に支援を呼び掛けた。候補者も集会などの自粛を余儀なくされる異例の展開となった。
NHKから国民を守る党の田中健氏(54)は、立花孝志党首の「同姓同名で票がどうなるか見たい」との方針に沿って出馬したが及ばず、無所属の山口賢三氏(72)も届かなかった。
時事通信社