
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言解除後初の週末を迎え、天候に恵まれた首都圏の行楽地では、家族連れなどがレジャーを楽しむ姿が目立った。
県境越えの人もおり、客足は順調のように見えるが、営業再開した店舗からは「まだ少ない。今後元に戻るのかも見通せない」と不安の声も上がった。
神奈川県・江の島周辺の海岸では、色とりどりのウインドサーフィンの帆が海に浮かび、マリンレジャーに熱中する人の姿が見られた。娘(8)と訪れた横浜市の主婦山ノ井直子さん(42)は「外出自粛中はベランダにプールを出したが、海の方が断然良い」と久々の外出を思いっきり楽しんだ様子。「子供の夏休みも短くなりそうなので、学校が始まる前に思い切り遊ばせたい」と話した。
一方、江の島の海鮮料理店「魚華」の従業員藤原一磨さん(24)は「例年の4割くらいの人出。もう少し戻ってきてほしいが、全く先が読めない」と訴えた。
箱根町の大涌谷では、30日から立ち入り規制が解除。午後2時すぎ時点で駐車場はほぼ埋まっており、名物の黒たまごには50人ほどが並んでいた。販売会社によると、当初は400袋を用意したが、予想以上の人出に600袋追加したという。
「県境を越えたが、近場だったので来た」と話す静岡市の会社員男性(44)は「自然の中はやはり気持ちいい。もっと遠出したいので、早くコロナが終息してほしい」と話した。
東京都内有数の観光地、高尾山(八王子市)は多くの登山客が訪れ、麓と中腹を結ぶケーブルカー乗り場や売店の前には行列も。運行する高尾登山電鉄によると、例年、週末の登山客は1日1万人ほどで、町田慎也運輸課長は「徐々に戻りつつあるが、まだ普段の2割程度」と話す。
始発電車で来たという東京都中野区の男性会社員(47)は「県境をまたぐ移動ができず、近場の山を選んだ」と話す。早朝の電車には夜通し飲み明かしたとみられる酔客を多く見かけたといい、「また感染者が増加するのではないかと心配」と表情を曇らせた。
JIJI Press