
自民党内で新型コロナウイルス感染収束後の国家像を描く勉強会が4日、相次いで発足した。岸田文雄政調会長が政調直轄の「戦略本部」を設置し、下村博文選対委員長、稲田朋美幹事長代行らは議員連盟の準備会合を開催。党内では「ポスト安倍」をにらんだ動きとの見方も出ている。
「コロナとの戦いは長期戦だ。その先について政治の責任として考えなければならない」。本部長に就任した岸田氏は4日の「新国際秩序創造戦略本部」初会合でこう語り、コロナ後の国家像提示に意欲を示した。
座長には安倍晋三首相の盟友、甘利明税調会長が就任。岸田氏周辺は起用の理由について、岸田派が次の党総裁選で甘利氏が所属する麻生派との連携を視野に入れているためだと明かす。甘利氏を据えることで「岸田氏の背後に麻生太郎副総理兼財務相もいると各派に思わせる」と解説する。
首相の党総裁任期は来年9月末。岸田氏としては早くも足場固めに乗り出した形だ。
一方、下村、稲田両氏が主導する議連準備会合には各派から約30人が出席した。「コロナ後」の課題として教育改革や憲法改正など幅広く議論することを確認。下村氏は記者団に「(岸田氏とは)競合ではなく、相乗効果が上がるようにしたい」と説明した。
下村、稲田両氏は、西村康稔経済再生担当相とともに首相の出身派閥である細田派に所属し、「ポスト安倍」に意欲を示している。ただ、同派内では3氏とも決め手に欠けるとの見方が強い。党関係者は議連発足について「下村氏と稲田氏が存在感を高めたいと思っているのではないか」と話す。
JIJI Press