
法務省・出入国在留管理庁は15日、国外退去処分を拒んだ外国人に罰則を科す方向で検討に入った。外国人の施設収容が長期化している問題に対応するため。入管難民法の早期改正に向け、7月にも本格的な検討に着手する。
有識者でつくる入管庁の専門部会が15日、こうした内容の提言書をまとめた。上部組織に当たる「出入国管理政策懇談会」(法相の私的懇談会)でも審議され、今月末以降に森雅子法相に提出される。
不法残留などで国外退去処分を受けた外国人の大半は命令に従い帰国している。しかし、一部は本国が送還に応じなかったり、帰国すると生活に困窮するといった理由から本人が出国を拒んだりしており、収容長期化の原因となっている。
昨年末現在、退去処分を受け、施設に収容されている外国人は942人。この7割近い649人が出国を拒否している。
提言はこうしたケースに対処するため、退去処分を受けた外国人に対して一定期間内での退去を義務付け、従わない場合は何らかの罰則を科すべきだと主張した。専門部会の審議では「罰則を設ければ退去を促す効果が出る」などの意見が出ており、入管庁は罰則の具体的な内容について今後検討する。
外国人の不法滞在に関しては、難民認定の申請手続き中は送還されない仕組みに乗じ、実際は就労などを目的に、認定の見込みがないのに申請を繰り返すケースも増えている。このため、提言は難民認定基準をより明確化し、同じ内容の申請が繰り返された場合は送還することもあり得るようにすることも求めた。
JIJI Press