
安倍晋三首相は18日、通常国会の閉幕を受け、首相官邸で記者会見した。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入計画停止を受け、今夏に国家安全保障会議(NSC)で安保戦略を練り直す方針を表明。ミサイル攻撃を未然に防ぐため、発射前に相手の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」の保有も、検討対象とする考えを示した。
敵基地攻撃能力について、政府は憲法上許容されるとしつつも、保有を否定してきた。首相の発言は今後、議論を呼びそうだ。
首相は「朝鮮半島では緊迫の度が高まっている。わが国の防衛に空白を生んではならない」と指摘。「抑止力・対処力を強化するために何をすべきか、安保戦略のありようについてこの夏、徹底的に議論し、新しい方向性を打ち出し、速やかに実行に移したい」と述べた。
その上で、自民党内で敵基地攻撃能力の保有論が出ていることに触れ、「そういうものも受け止めていかなければいけない。政府でも新たな議論をしていきたい」と語った。
一方、首相は新型コロナウイルスの感染終息を見据え、「ポストコロナの新しい日本の建設に着手すべきは今だ」と強調。「未来を見据えながら、新たな社会像、国家像を大胆に構想していく」と述べ、政府の未来投資会議を拡大し、7月から議論を始める考えを示した。
通常国会で憲法改正の議論が進展しなかったことについて、首相は「大変残念だ。国会みんなの責任だ」と不満をにじませつつも、「(来年9月までの)自民党総裁任期の間に憲法改正を成し遂げたい」と改めて強調した。
党総裁の任期延長や4選を目指す可能性は「自民党のルールに従って任期をつとめ上げる。これを変えようとは全く考えていない」と改めて否定。9月の党役員人事に合わせた内閣改造に関しては「まだ先の話だ」と言及を避けた。
JIJI Press