
理化学研究所は23日、理研や富士通などが開発中のスーパーコンピューター「富岳」(神戸市)が、スパコンの計算速度を競う「TOP500」など四つの世界ランキングで、2位に大差をつけて1位を獲得したと発表した。TOP500で日本のスパコンが世界1位になるのは、2011年6、11月に記録した理研の「京」以来となる。
1秒当たりの計算速度は、約41.6京(京は1000兆の10倍)回で、2位の米国のスパコン「サミット」の約14.9京回の約2.8倍に及ぶ。
富岳はTOP500のほか、産業利用など実際のプログラムで使われる計算速度を測る「HPCG」、人工知能などで活用される計算性能を評価する「HPL―AI」、ビッグデータの処理で重要なグラフ解析に関する「Graph500」でも世界1位となった。
富岳は、京の後継機として14年に開発を開始。京の100倍以上の計算能力と、省電力性能の向上を目指し、21年度の本格運用開始に向け開発、整備を進めている。
神戸市の理研計算科学研究センターに設置されている富岳は、機器が詰まったきょう体(ラック)432台に、CPU(中央演算装置)約15万9000個を搭載する。TOP500の計測では、このうち約95.6%を使用。今後のソフトウエアの調整などで、さらなる性能向上も期待できるという。
高度な計算能力を生かし、創薬や遺伝子治療、地震や津波、台風などの災害予測など幅広い分野での活用が期待され、新型コロナウイルス感染症対策研究への利用が先行的に始まっている。
JIJI Press