
75年前、原爆で多くの信徒が犠牲となった長崎市本尾町のカトリック教会浦上天主堂では9日早朝、追悼のミサが行われ、集まった約250人の信徒らが平和への祈りをささげた。
午前5時半、ミサを知らせる鐘の音が響き、信徒が集まると賛美歌やパイプオルガンの音で聖堂が包まれた。
宮原大地司祭は、被爆して苦しみつつも信仰を捨てず、他者のために願いながら亡くなった女性の話を紹介。長崎の経験を二度と繰り返さないため、「75年の節目の年に、世界との連帯をさらに一歩進める決意を新たにしたい」と呼び掛けた。
犠牲者に祈りをささげるため、毎年ミサに訪れているという長崎市の小田光子さん(76)は「この日が訪れるたびに、二度とこんな悲しいことが起きないでほしいと願っている」と声を震わせた。
原爆で父と兄、姉を亡くした同市の松尾幸子さん(86)は、核兵器廃絶について「皆ができることから始めている。声を上げているが、政府が聞いてくれない」と訴えた。
JIJI Press