

コロナウイルスのパンデミックによりカーボベルデで足止めされている新婚旅行中の日本人夫婦が思いがけず、来年の東京オリンピックへ向け熱帯の楽園のオリンピック代表団アンバサダーに任命された。
片岡力也さんとあゆみさんは12月、南アフリカから世界一周旅行を開始し、パンデミックの規模が明らかになり始めた2月には北へ向かっていた。
2人はヨーロッパへ向けて移動し続ける計画を打ち切り、カーボベルデへ飛ぶことにした。
「カーボベルデに滞在するのが一番安全な選択だろうと思いました」と、29歳の夫の力也さんは島からオンラインの動画インタビューでAFPに語った。
「ここに来ることができて良かったと思います。日本では感染者数が増加しています。ヨーロッパでも爆発的な感染増加が見られました。正直なところ、とても平和な場所に来ることができてラッキーだと思いました。」
しかし、同国の空港が閉鎖され、2人は動きが取れなくなり、東京でシェアハウス事業を経営し映像作家でもある力也さんは、食事や宿泊と引き換えに地元のレストランやリゾートのビデオや写真を制作し始めた。
力也さんはまたインスタグラムのアカウントに動画を投稿し、サル島の街をあゆみさんが歩きながら住民に手を振ってあいさつする様子から地元のリノベーションや美化プロジェクトに至るまであらゆることを紹介した。
うわさは徐々に広まり、地元のメディアが2人の話を取り上げ、それが同国のオリンピック関係者の目に留まった。 カーボベルデの東京オリンピック選手団団長、レオナルド・クーニャ氏は、力也さんと連絡を取りパートナーシップを提案することに決めた。
「2人はサル島の高品質なビデオをたくさん作り多くの注目を集めていたので、アンバサダーとして迎えることに決めました」と同氏は電子メールを介しAFPに語った。
「困難な状況にあってさえ、私たちの国を熱心に宣伝してくれました」と付け加えた。 その依頼はまったく思いがけなかった、と力也さんは述べた。
「カーボベルデで足止めされているという事実は……もしかするとメディアの関心を引くかもしれないと思いました。でも、カーボベルデのオリンピック・アンバサダーになるとは想像もしませんでした」と笑った。
人口約55万人の小国カーボベルデは、パンデミック勃発により今年初めに延期された東京2020オリンピック競技大会にほんの一握りの選手団を送る予定だ。
クーニャ氏は、この夫婦が国を宣伝するユニークな立場にあったと語った。
「私たちはただ、2人がカーボベルデの旅行を記録し続け、画像と体験した『モラベザ(伝統的なカーボベルデのもてなし)』を宣伝してくれるよう望んでいるだけです」と同氏はAFPに語った。
「これからも2人が我が国を宣伝するこの任務を続け、東京2020オリンピック中にも同じくその場を利用して続けてくれるよう願っています。」 オリンピック期間中、あるいは夫婦が日本に帰国するとき、どのような形で広報活動をするかは明らかでない。
カーボベルデの空港はまだ閉鎖されており、力也さんは急いでこの国を離れるつもりはまったくなく、同国の大統領とオリンピック委員会を撮影する計画を立てている。
「こんなに素晴らしい仕事がこの先また舞い込んでくるほどに自分が恵まれているとは思えません」と述べた。
カーボベルデのオリンピック委員会は、東京オリンピックの観戦チケットを2人のために用意すると約束した。 しかし今のところ力也さんは、あゆみさんとエメラルドグリーンの海でひと泳ぎしていないときは、カーボベルデの観光地および地元企業の宣伝に注力している。
「過去の旅行では、カーボベルデのように長い間1か所に滞在したことはありません」と力也さんは述べた。「今は、正直なところ、自分の役割を果たしてこの国に還元したいと思っています。」
AFP