
政府は25日、新型コロナウイルス感染症対策本部会合を首相官邸で開き、全世界から新規入国者の受け入れを10月1日から一部再開することを決めた。3カ月以上の中長期滞在者を対象とし、感染拡大防止のため一定の条件を付ける。人数は1日1000人程度とする考え。受け入れを再開すれば、新型コロナの水際対策は大きく転換される。
菅義偉首相は席上、「経済再生のためには国際的な人の往来の再開が不可欠だ」と指摘。入国者の受け入れを順次拡大していく方針を示した。
新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する菅義偉首相(右から2人目)=25日午後、首相官邸
新型コロナウイルス感染症対策本部で発言する菅義偉首相(右から2人目)=25日午後、首相官邸
政府はこれまで、159カ国・地域について入国拒否の対象としてきた。首相は内閣の基本方針として、新型コロナ対策と経済再生の両立を掲げている。各国から入国制限の緩和要請が相次いでいることも踏まえ、感染症対策に万全を期しつつ、停滞が続く経済の活性化を急ぐ。
入国再開には、来年夏に予定される東京五輪・パラリンピック開催に向けた環境整備の狙いもありそうだ。
10月からの新規入国者には、滞在先から出国前の検査で陰性であることを確認するとともに、入国後2週間の待機なども求める。こうした対応を確約できる受け入れ企業や団体があることを条件とした。観光目的の短期滞在者の入国は認めない。
政府は既に、感染拡大が比較的落ち着いているベトナムやタイ、台湾などアジア地域の7カ国・地域について、14日間の自宅待機が必要な長期滞在者の往来を再開。30日にはシンガポールも追加するなど、対象を順次拡大している。
JIJI Press