
新型コロナウイルスの感染拡大で途絶えていた国内クルーズ船の運航が再開される。商船三井客船の「にっぽん丸」は25日に愛媛県の新居浜港を出港し、長崎県の佐世保港に26日寄港する。観光客を乗せたクルーズ船の運航は2月以来となる。郵船クルーズの「飛鳥II」も11月から運航を再び始める。船会社は感染対策を徹底し、安全な船旅に注力。国土交通省も港湾施設の感染対策に財政支援する方向で検討を始めた。
にっぽん丸が佐世保港に入った後、観光客はハウステンボスや九十九島を訪れる。27日午後に新居浜港に戻る日程だ。船の定員530人に対し、乗客は約200人、乗員は約100人に限定する。
飛鳥IIは11月2日に横浜港を出て、静岡県の清水港に入港。3泊4日の船旅を予定する。運航再開に備え、20~21日には船内に感染者が発生した想定で訓練を実施。患者の隔離や搬送の手順を確認した。
国交省によると、クルーズ船の国内寄港は2月26日が最後だった。横浜港に停泊した「ダイヤモンド・プリンセス」、長崎港に停泊した「コスタ・アトランチカ」でそれぞれ新型コロナの集団感染が発生。「3密」になりやすい船内の感染対策が課題となった。
日本外航客船協会と日本港湾協会は9月、運航再開に必要な感染対策をまとめた指針を作成。乗船2週間前の渡航歴や健康状態の確認、乗客らの十分な距離の確保、接触確認アプリの活用、マスク着用や消毒を求めた。
にっぽん丸、飛鳥IIは指針に沿って対応。両船の目的港を管理する佐世保市と静岡県も感染対策を講じる。静岡県は岸壁に一般見学者が立ち入るのを禁止する。
また、国交省は旅客ターミナルの感染対策を支援する方針だ。乗客らを分ける仕切りや体温検知器、体調不良者の待機場所となる医療用テントの整備費用を補助する方向で検討。2021年度の開始を想定し、クルーズ船の旅を後押しする。
JIJI Press