
感染力が強い新型コロナウイルス変異種が英国などで広がっていることを受け、加藤勝信官房長官は22日の記者会見で、水際対策を強化する考えを明らかにした。英国への短期出張者が再入国する際の扱いを含め「(入国の)一時停止など、さらなる必要な措置を早急に検討し、対応していきたい」と述べた。菅政権は経済活動の再開に向けて入国制限の緩和を進めてきたが、方針転換を迫られそうだ。
英国で見つかった変異種は日本ではまだ確認されていない。政府は一たび流入を許せば「医療崩壊につながりかねない」(関係者)と危機感を募らせている。段階的に緩めてきた水際対策について「失敗したら批判が一気に政権に向かう」(政府高官)との懸念もある。
加藤氏は「英国における変異種の問題も踏まえ、関係省庁で水際対策の強化について検討している」と説明。現在、英国などからの外国人の入国は、日本人の配偶者など「特段の事情」がなければ認めていない。英国などに短期出張する日本人や日本に居住する外国人が再入国する際、一定条件の下で「14日間待機」を免除している。政府はこの措置を厳しくする方向で検討している。
また加藤氏は、英国滞在歴があり検疫所で陽性が判明した人の検体は、国立感染症研究所にその都度送ってウイルスの分析をする方針も明らかにした。これまでは1週間程度の分をまとめて送付していた。
一方、緊急事態宣言については慎重な姿勢を改めて示した。加藤氏は「宣言を出すような状況に至らないように地域の感染状況や病床の確保状況を把握している各自治体と連携しながら、必要な対策をしっかりと講じていくことが重要だ」と語った。
JIJI Press