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母の子宮頸がん、子に移行=羊水に混入、肺がんに―世界初・国立がん研究センター

同センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「小児の肺がん患者は100万人に1人もいない上、極めてまれな例だ」と説明した上で、「母親の子宮頸がんの発症を予防することが重要」と訴えている。(Shutterstock)
同センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「小児の肺がん患者は100万人に1人もいない上、極めてまれな例だ」と説明した上で、「母親の子宮頸がんの発症を予防することが重要」と訴えている。(Shutterstock)
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07 Jan 2021 02:01:26 GMT9
07 Jan 2021 02:01:26 GMT9

母親の子宮頸(けい)がんが出産時に羊水に混入し、誕生直後の赤ちゃんが初めて泣いた際にこの羊水を吸い込んで肺がんを発症した例が見つかった。国立がん研究センターなどの研究チームが世界初の例として7日発表した。論文は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版に掲載された。

この例は2組あり、いずれも肺がんを発症したのは男児。母子のがん細胞の遺伝子を解析したところ、DNA配列に同じ変異があったほか、子のがん細胞には男性のY染色体がなかったため、移行したと確認された。1組目の男児は免疫療法薬「オプジーボ」(一般名ニボルマブ)で治療でき、2組目の男児は手術で肺がんを切除した。母親2人は出産後や出産時に子宮頸がんと診断され、その後死亡した。

同センター中央病院の小川千登世・小児腫瘍科長は「小児の肺がん患者は100万人に1人もいない上、極めてまれな例だ」と説明した上で、「母親の子宮頸がんの発症を予防することが重要」と訴えている。 

子宮の入り口付近にできる子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が主因だが、がんの発症に至るのは感染者の一部。17歳未満のうちにワクチンを接種すれば発症を予防でき、定期的な検診によるがんの早期発見で治療できる。

荒川歩・小児腫瘍科医長によると、今後子宮頸がんの母親が出産する際、羊水を介した移行が懸念される場合は、帝王切開を行えば防げると考えられる。母親のがんの子への移行はこれまで、皮膚がんなどが胎盤を通る血液を介して移行する例が知られていた。親子間で遺伝情報が近い上、子の免疫機能が十分発達していないため、がん細胞を排除できないとみられる。

JIJI Press

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