
日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(66)の報酬隠しに関与したとして、金融商品取引法違反罪に問われた同社元代表取締役グレッグ・ケリー被告(64)らの公判が12日、東京地裁(下津健司裁判長)であった。同社元最高執行責任者(COO)の志賀俊之氏(67)が出廷し、退任後の報酬支払いに関し、「開示の趣旨に反し、直感で不正と思った」と証言した。
証言によると、高額報酬の開示を避けるためゴーン被告が減額した自身の報酬について、小枝至・元相談役が2011年、志賀氏に「気の毒なので(減額分を)退任後に払おう」と提案した。
違法性を疑った志賀氏はその後、ゴーン被告に直接説明を求めた。その際、同被告は「約束した報酬額はもっと大きかった。私はもらう権利がある」「開示せずに受け取る方法を考えろ」と強い口調で指示したという。
志賀氏は当時の認識について、「間違いなく開示制度の趣旨に反していると感じた」と述べた。ただ、ゴーン被告の指示には逆らえなかったとし、「なぜ『できません』と言えなかったのか。後味の悪さが残った」とも語った。
ゴーン被告は同年3月下旬、志賀氏らが提案した報酬支払い方法のうち、退任後に相談役として受け取る案を選択。名目については、他の自動車企業に移らない約束の対価とすればいいなどと発言したという。
志賀氏は、退任後報酬に関する協議は「この時を境に立ち消えた」と述べ、これ以降の検討状況は「知らない」と強調した。
JIJI Press