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パンデミックにより豊かな日本における隠された貧困が明らかに

必要としている人たちに食料を配るNPO法人自立生活支援センターのボランティアの人々(2021年1月9日、東京・新宿区)(写真提供/AFP)
必要としている人たちに食料を配るNPO法人自立生活支援センターのボランティアの人々(2021年1月9日、東京・新宿区)(写真提供/AFP)
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19 Jan 2021 01:01:33 GMT9
19 Jan 2021 01:01:33 GMT9

新型コロナウイルスの世界的大流行により貧困に追い込まれている多くの日本人を支援するため東京で行われた支援イベントで、食料の小包を受け取っていた雄一郎さんは、顔をほころばせた。

「仕事がないのです。本当に全くありません」と、最近まで建設作業員として働いていた46歳の雄一郎さんは、首都東京の寒い冬の通りで、生活必需品の入った小さなビニール袋を握りしめながら語った。

「メディアではあまり報道されませんが、多くの人が駅やダンボール箱の上で寝ています。中には餓死する人もいるのです。」

世界第3位の経済大国である日本における新型コロナウイルスの感染規模は、これまでのところ比較的小規模であり、これまでの死者は4,500人と他国に見られるような大規模なロックダウンはほとんど行われていない。

失業率は3%を下回り、社会的なセーフティーネットが充実していることでも知られる日本は、パンデミックによる経済的な影響を乗り切るのに十分な状況にあるように見える。

しかし市民活動家らは、失業率の高さや低賃金の派遣労働は統計に隠されており、最も弱い立場にある人たちは、今もなお大きな打撃を受けていると主張する。

貧困に取り組む団体「自立生活支援センター・もやい」の代表を務める大西連さんは、「パンデミックや失業率の上昇、賃金の下落は、以前かろうじて生活できていたワーキングプアの人々を直撃してます」と話す。

約4割の労働者が、賃金が低く容易に契約を打ち切られてしまう不安定な「非正規」の職に就いている。

また、多くの人が生活保護を受けるのに苦労している。

AFP通信に姓を名乗らなかった雄一郎さんは、役所をたらい回しされたあげく、生活保護は「子どもがいる人のみを対象としたの支援である」と言われたという。

「しかし、食べられない大人は多くいます」と雄一郎さんは述べる。

日本では年間1,000万人以上が1万9,000ドル以下で生活しており、6人に1人が全国中央値の半分以下の所得で「相対的貧困」の生活をしている。

経済の専門家によると、過去6ヶ月で50万人もの日本人が職を失ったと述べており、市民活動家らはその影響が国民全体に波及していると主張する。

非営利活動法人「TENOHASHI」の代表をつとめる清野賢司さんは「中流階級が崩壊しているのは確実です」と述べた。

東京の繁華街である池袋では、「TENOHASHI」のボランティアチームによる食料、衣類、寝袋、医療支援を受けようと、約250人が列をなしていた。ボランティアチーム就職活動や行政サービスについても無料で相談を行った。

「すでに苦しんでいた人たちが、新型コロナウイルスに直面していました。彼らはこれまで綱渡りで生活をしてきており、ここでその綱が切れてしまったのです」と清野さんは付け加えた。

専門家らは、この経済的な苦境が昨年末に見られる自殺率の上昇の一因となっている可能性があると警告している。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎氏によると、日本の失業率が1%ポイント上昇すると、年間約3,000人、自殺者が増えるという。

パンデミックにより大きな打撃を受けている産業である小売店、レストラン、ホテルでは短期契約で働く女性が多いため、特に女性は経済的苦境に直面している。

専門家によると、女性は援助を求めたり、食べ物を求めて男性の列に加わるのを躊躇することが多いが、それでも、最近では支援イベントで小さな子供を連れた女性や母親を見かけることが多くなっているという。

清野氏は、彼が支援している人々のうち女性は20%に満たないものの、支援を求めて表に出てきていない女性が「もっと多く」いると考えていると述べた。

「生活保護を受けていると、子どもが堂々と外で歩けなくなると感じている女性もいます」と清野氏は加えた。

生活保護の申請数が増えているという統計がある中、「自立生活支援センター・もやい」の大西氏は、生活保護受給者であることの恥ずかしさや汚名により、多くの人が支援を求めることに消極的になっていると語った。

「生活保護制度自体に、家族からの援助を優先しなければならないという規則があります。そのため、家族には『あなたの息子さんが生活保護を申請しています』というような通知が届くんです」と大西氏は語った。

「これは日本らしい制度です。誰もが法的に制度を利用する権利を有しています。しかし、社会は必ずしもそれを容認しているわけではありません。」

市民活動家らは、日本の貧困の規模は、他国や多くの先進国における貧困の規模に比べると小規模に見えることを認めている。

しかし、このことは衣食住に苦労している日本の人々にとって、ほとんど意味をなさない。

池袋で支援を受けているある男性は、建設業からの月収が200ドル以下に落ち込んでおり、家賃の支払いのための現金があと1ヶ月分しか残っていないと述べた。

「路上には出たくありません。寒すぎます」と名前を伏せたその男性は語った。

「これからどうすればいいのか、わかりません。」

AFP

 

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