
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が東京地検特捜部に逮捕され1年となった19日、同被告の弁護団は声明を発表し、改めて「ゴーン氏は無実」と訴えた。声明は「真実に反する嫌疑に断固として対抗する」と強調。「ゴーン氏の決意が揺らぐことはない。ゴーン氏は潔白を証明し、家族と再会する機会を心待ちにしている」とした。
弁護団は、長期間に及んだ身柄拘束や妻キャロルさんとの接触を禁止した保釈条件について、「公正な裁判を受ける権利の侵害」などと批判。「検察はゴーン氏を有罪にすることに懸命になり、無罪推定とは反対の態度を示している」と訴えた。
声明は、120日以上の勾留を伴った捜査を「独立性を欠き、不公正な日産の調査に依拠した」とも非難。「不適正で違法な捜査はゴーン氏が20年にわたり身をささげてきた日産に回復不能な損害を与え、株式価値を著しく毀損(きそん)した」と続けた。
この日午前、ゴーン被告は弁護団の弘中惇一郎弁護士の事務所に姿を見せたが、報道陣の問い掛けには何も答えなかった。
ゴーン被告は昨年11月19日、羽田空港に到着したところで東京地検特捜部に身柄を拘束され、役員報酬を隠した金融商品取引法違反容疑で逮捕された。2度の再逮捕を経て保釈中だった今年4月、日産に損害を与えた特別背任容疑で再び逮捕され、同月25日に再保釈された。
東京地裁で公判に向けた手続きが進んでおり、来春にも金商法違反事件での初公判が開かれる可能性が出ている。
JIJI Press