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IMF、2034年までにGCC経済が終末を迎えるだろうと予測

13 Feb 2020
クウェート市の北100km地点にあるAl-Rawdatain 油田のクウェート石油公社(KOC)従業員(AFP)
クウェート市の北100km地点にあるAl-Rawdatain 油田のクウェート石油公社(KOC)従業員(AFP)
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先週、ワシントンDCを本拠地とする国際通貨基金(IMF )が極めて悲観的な報告書を発行した。その報告では、湾岸協力会議(GCC)のメンバー諸国が手遅れになる前に石油からの多角化を管理運営する能力について疑問を投げかけている。特に、「石油の未来とGCC 地域の財政上の持続可能性」では、世界中で従来型および新規の燃料供給源を非GCC諸国へ切り替える動きが予想以上に早く進んでいるのに対し、GCC諸国の石油多角化のスピードの遅さを指摘している。

報告書は石油市場に予測のつかない根本的変化が起こっている事実を指摘する。新たなテクノロジーが新旧供給国からの石油供給量を増大させている一方で、環境に関する懸念が高まるにつれて世界が徐々に石油離れしつつあるのだ。

GCC 諸国は世界の石油備蓄の約40%、天然ガスの20%を有している。GCCの産出国は、世界の石油輸出量のほぼ4分の1と天然ガス貿易のかなりの割合を握っている。石油と天然ガスの輸出はGCCの経済成長の心臓部であり、政府収入の主要部分をまかなっている。

GCC諸国はずっと以前から石油と天然ガスへの依存度を減らす必要性を認識しており、どの国も自国の経済を支える土台と財政源を多角化させるための改革を行っている。

しかし、世界情勢は多くの意味で急速に変化しつつある。まず第一に、新たなテクノロジーの躍進によって生産コストが低減され、シェールオイルが従来の石油に取って代わろうという勢いだ。第二に、気候変動に対する国際的な働きかけによって、かつて予測されていたよりも速いスピードで再生可能エネルギーへの切り替えが加速している。

IMFは、現在の多角化のスピードから考えると、GCCの資産が2034年までに枯渇する可能性があると予測する。石油収入が減少するにつれて、政府はこれまでの貯蓄資金に頼っていかざるをえなくなる。貯蓄資金 はおよそ2兆ドル、言い換えると年間1,330億ドル平均だと予測されている。IMFは多角化計画を加速させてその危機に対応するよう求めている。さもなければ2034年までにGCC諸国はほとんど貯蓄資金が底をつき、高利で借金をするか、大幅な経費削減を強いられることになるとIMFは予測する。

現在の世代はその子供達や孫たちのためにも必要な犠牲を払う必要がある。

アブデル・アジーズ・アルウェイシグ

IMFは世代間の公平という道義上のジレンマについても指摘する。石油ブーム世代がそれぞれの貯蓄金を使い果たし、これまで貯蓄資金が全て引き下ろされてしまえば、新たな世代には貯蓄金がほとんど残されていないことになる。

IMF の描く絵は極めて鬱々たるものだ。ペルシャ湾岸諸国の批評家の中には、そんなことは非現実的だという者もいる。2034年に財源が底をつくずっと前に、政治家たちが方策を切り替え、そのような悲惨な状況が起こるのを回避するはずだと言う。IMFいわく、求める成果を出すための方向修正には時間がかかるということが問題なのだ。会計上の調整はすぐに行えるかもしれないが、経済・社会・政治への影響となると厄介だ。例えば課税が経済成長を阻む可能性がある。可処分所得や民間投資のための資金が低減するからだ。経済の土台を多角化することはさらに難しい。労働力を再編成して新たに多角化された経済のニーズを満たすことは、おそらく最も困難なことだろう。

2034年という終末のタイミングは平均値だ。GCC 諸国の中にはもっと早く大きな困難に直面する国もあるはずだ。一部の国はすでにその状態にある。もう少し余裕のある国もあるだろうが、彼らの経済も隣国の財源が枯渇し地域の経済成長が停滞すれば、その影響を受けることになる。そして困難の中にある隣国を助けるよう要請されることもあるだろう。このように、どちらにしても、全てのGCC諸国で多角化をさらに優先させることが緊急課題だ。

2034年までのむこう14年間で経済と政府収入の多角化を行うには、あまり時間がない。しかし不可能ではない。IMF自身がこの報告書で認めているように、GCC諸国は正しい方向へ向かって動いてはいるのだ。ただしもっと加速する必要がある。国内外の経済学者たちは多角化という目標達成を加速させるための方法を長年にわたって提案してきている。

急速な多角化へのプロセスを管理運営するのは容易い仕事ではない。今の世代の人々は石油 ベースの経済に慣れきっており、低課税、無料の教育とヘルスケア、低価格のエネルギー、そして公的資金による安易な就職といったことを享受してきた。GCC諸国が2034年までにIMFからの課題を解決するには、個人も政府従業員も企業もすべて新たな緊縮生活が求められる。

急速な多角化のためには、新たな非石油収入をはじめ、大きな財務修正が必要となるだろう。しかし、そうした新たな収入は経済を縮小させたり、民間投資や消費を低減させたりしないよう適切に調整されなければならない。さらに政府支出のニーズは、浪費を抑え、生産的出資、つまり成長を促進させる出資、に切り替えていくことによって合理化される必要がある。

現在の世代も大切だが、未来の世代の経済的安定も守られなければならない。これらの改革を早期に強力に開始することは、彼らの経済的安定にも役立つはずだ。現在の世代はその子供達や孫たちのためにも必要な犠牲を払う必要がある。急速な多角化は、足早に迫ってくる物不足に対応するためにも必要なことであり、人々の生活全般に影響を及ぼす社会経済上の結果をもたらすことだろう。このように、多角化へのプロセスは、社会の一体性を保つために最大限の注意を払いながら管理される必要があり、同時にGCC 諸国の人々、経済、国庫を石油・天然ガス収入への依存から独り立ちさせることが必要だ。

Abdel Aziz Aluwaisheg湾岸協力会議の政治問題・交渉部門の事務局長補佐で、アラブニュースのコラムニスト。この記事に記載されている観点は個人的なものであり、必ずしもGCCの観点を代弁するものではない。ツイッター:@abuhamad1

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