
鹿児島県・徳之島で、人から餌をもらっている野良猫や放し飼いの猫などが、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどの希少種を捕食している実態が、森林研究・整備機構森林総合研究所と京都大などの研究で分かった。研究チームは「餌やりによって猫が増え、自然環境に影響を与えるということを知ってほしい」と訴えている。
徳之島にはアマミノクロウサギなどの希少種が生息しているが、森林と人の生活圏が近く、猫による捕食が問題になっていた。
森林総研の亘悠哉主任研究員らは2014年12月~18年1月、森林域で捕獲した猫から、ふんと体毛を採取。174匹分のふんの内容物を分析したところ、約2割が捕獲前の数日間に、アマミノクロウサギや天然記念物のケナガネズミ、トクノシマトゲネズミなど計6種の希少種を捕食していたことが分かった。
一方、体毛の分析からは、捕獲までの数カ月間にほとんどの猫がキャットフードを食べていたことが判明。猫が人家周辺と森林を行き来し、希少種を捕食している実態が分かった。
亘さんは「島の生物は警戒心が低く、簡単に食べられてしまうため影響は大きい。飼うのであれば、しっかり室内で飼うのが望ましい」と話している。
論文は20日までに、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
Jiji Press