
北京時事: 中国外務省の華春瑩報道局長は29日の記者会見で、岸田文雄・自民党新総裁の選出について「日本の新政権と各分野で実務的な協力を深めたい」と述べた。中国は、岸田氏が米国と連携して対中強硬路線を取ることを警戒。共産党機関紙・人民日報系の環球時報電子版は「新内閣の外交政策は基本的に変わらないだろうが、主体的に中日関係を改善する機会を探るべきだ」という見解を伝えた。
岸田氏は総裁選で、中国を意識した外交安全保障政策を訴えた。特に中国をいら立たせているのが、少数民族ウイグル族への人権侵害などに対処する人権問題担当首相補佐官の設置。中国外務省の趙立堅副報道局長は14日の記者会見で「中国内政への外部勢力の干渉は許さない」と反発した。
岸田氏は親中派の代表格とされる二階俊博幹事長の再任を否定。総裁選の決選投票では、中国に明確に厳しい姿勢を打ち出した高市早苗前総務相の支持票が岸田氏に回ったもようだ。このため、中国では「安全保障面で両国関係は良くならない」(国際関係専門家)という予想が出ている。
ただ、岸田氏が率いる岸田派は伝統的に中国との関係を重視する政治家が多い。来年2月に北京冬季五輪を控え習近平指導部は対日関係を重視しており、岸田内閣の顔触れも踏まえて対日政策を組み立てるとみられる。
時事通信