
アレキサンダー・ウッドマン
サウジアラビアと日本の間に外交関係が樹立されて以来、両国はそれぞれの歴史・遺産・文化を受け入れ合うことで、互いへの信頼を築いてきた。これにより、現在の同盟はより広く、より深いものになっており、強固で不朽の戦略的協力体制が築かれている。
サウジアラビアの人は、日本は友情のシンボルとして有名な国だと信じている。友情は美しい概念で、団結と協力のシンボルである。この友情は1950年代に始まり、サウジアラビアと日本は60年以上にも及ぶ協力関係を築き、その間、人的資本への投資、資源の交換を行い、多国間関係を発展させていった。
両国の固い絆は、協力・団結・繁栄という共通のビジョンの上に築き上げられたものだ。サウード家とヤマト王権(皇室)の継承者・指導者は、公式訪問を通じ、深い親交を維持している。最も注目すべき面会の1つが、1971年のファイサル前国王の日本への訪問であった。サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード国王は、ファイサル前国王の統治以降で初めてとなる、サウジアラビア国王としての日本への公式訪問を2017年に行った。この時に日本の明仁天皇は、二聖モスクの守護者としての尽力を賞して、サルマーン王に大勲位菊花章頸飾を贈った。
このパートナーシップは、「21世紀に向けた包括的パートナーシップ」や「日・サウジ協力アジェンダ」などの取り組みに反映されている。この特別な合意は、環境・健康・科学技術・文化・スポーツ・人材を改善するために築かれたものだ。
2001年に河野洋平外相が湾岸諸国を公式訪問した際には、「河野イニシアティブ」がサウジアラビアと日本の両政府に対し発表された。このイニシアティブが注力する領域は、イスラム世界との対話を発展させ、水資源を改善し、多様で対立している政策対話に関与することであった。本イニシアティブの立ち上げ以来、この日本・イスラム世界間の対話は毎年行われている。
サウジアラビア王国と日本は、気質や目標が似ており、伝統と価値を守るために協力する一方で、より現代的なアイデアを確立しようとしている。サウジアラビア人と日本人の中には、近代化の概念は必ずしも西洋化の原則から来るものではなく、各国に新しいものをもたらすことを目的としたものであると考えている者もいる。このことは、互いから学び、国民間レベルの関係を構築するのに役立つであろう。
この目的を達成するため、サウジアラビアと日本は2017年に、日・サウジ・ビジョン2030 を発表した。日・サウジ・ビジョン2030の目標は、相互の利益・繁栄を高めることだ。これは戦略的パートナーシップのためのコンパスとなり、サウジ・ビジョン2030と日本の成長戦略との間に生まれる相乗効果を追求するものだ。日・サウジ・ビジョン2030には基準となる手法がある。それは次の3本の柱からなるものだ。地域独自の「多様性」・「革新性」・「ソフトバリュー」である。
これらの柱となるアイデアを実行するために、44の省庁・機関が参加する形で、46の政府プロジェクトがスタートした。この計画は、サウジアラビアの石油への依存をさらに減らして経済を多様化し、健康・教育・インフラ・娯楽・観光などの公共サービスの領域を発展させるために利用される。
アレキサンダー・ウッドマンは、湾岸諸国を拠点に活動する作家であり、国際保健、国際医療政策開発、多国籍・多文化医療政策、倫理学、国際外交を専門としている。 [email protected] Instagram @thelandofadat