
岸田文雄首相は12日午前、衆参両院の正副議長と国会内で会談し、安定的な皇位継承の在り方に関する政府の有識者会議(座長・清家篤元慶応義塾長)の検討結果を報告した。減少する皇族数の確保策として、(1)女性皇族が結婚後も皇室に残る(2)旧宮家の男系男子が養子として皇籍復帰する―の2案を提示。今後の議論は国会に委ねられる。
首相は、衆院の細田博之議長と海江田万里副議長、参院の山東昭子議長と小川敏夫副議長に報告書を提出。報告書については「政府として尊重する」と伝えた。細田氏は来週早々に会派の代表を集めて検討を始める考えを示した。18日に松野博一官房長官が各会派に詳細を説明する。
両議長は報告を受けた後、連名で談話を発表。「今後は、天皇退位について検討した際と同様に、各党・各会派の代表者が参加する全体会議で政府から検討結果に関する詳細な説明を受けた後、まずは各党・各会派で検討をお願いすることにしたい」と説明した。
細田氏は記者団に「十分な時間をかけて検討してもらう段取りだ」と述べ、結論を急がない考えを明らかにした。山東氏も「立法府として真摯(しんし)に慎重に丁寧に検討していく」と語った。
有識者会議が昨年12月にまとめた報告書は、女性・女系天皇の是非など、安定的な皇位継承の抜本策を示していない。立憲民主党などは「本質が先送りされている」と批判しており、確保策の具体化をめぐる与野党の調整は難航しそうだ。
2017年に天皇退位特例法が成立した際、国会は付帯決議で、安定継承について検討、報告するよう政府に求めていた。
時事通信